パパの子育て

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汐見稔幸 プロフィール 東京大学教育学部卒、同大学院博士課程修了。現在、白梅学園大学学長。専門は教育学、子どもの発達的人間学、教育人間学。 教育人間学の応用として育児や保育を対象とし、講演会や執筆活動に活躍。子どもは3人。育児の実際にかかわってきて、その体験から父親の育児参加を呼びかけている。女性や男性の生き方、家族問題にも関心を持つ。 著書・監修書に『父子手帖 お父さんになるあなたへ』『何度でもやり直せ ぼくの体験的子育て論』『困ったちゃんの育て方』他多数。当ホームページ「インターネット相談室」回答者の一人でもある。 |
父親の育児参加が進まないわけ
父親の育児参加が呼びかけられてかなり経つ。その間、父親の育児参加は少しずつ進んでいる。しかし劇的にとはいかないようだ。
その背景に、日本の長時間労働問題と、父親を家庭や育児に誘うときの誘い出し方の問題があるようだ。
実はいま、カナダで国家規模の父親の家庭参加、育児参加のプロジェクトが展開されている。このプロジェクトの発案者で責任者のティム・パケットと2回、公開で対談する機会があった。
そのときに彼の話を聞いて、「なるほど」というか、「へー」と思ったことが3つあった。
長時間労働は父親のメンタルヘルスの問題
ひとつは、カナダで父親の育児参加が呼びかけられている背景に日本と同じ父親の長時間労働の問題があると言うのだが、では何時頃まで働いているのかと聞くと、「遅い人では夜7時とか8時まで」という。日本ではこの時間まで働くのは、とくに遅いとは言わない。でも、これが国際標準なのだ。
2つめは、長時間労働問題を父親のメンタルヘルスの崩壊の問題としてとらえていることだ。あまり長く働いていると、家族との生活を愛情を持って創造していくことや、自分の人生の楽しみを日々追求することができなくなってしまう。それは父親の精神を貧しくし、おかしくする、というのだ。働きすぎることはその人の価値観を狭くし、やがてメンタルヘルスを損なわせていくととらえているのだ。
育児は世界最高の仕事!
3つめはカナダでは日本のように「育児をしない男を父と呼ばない」というようなスローガンはまず採用しない、とティムが言ったことだ。それは父親を脅かしているスローガンだという。長時間労働は父親のメンタルヘルスを損う問題であり父親は犠牲者なのだから、さらに責めるということは絶対しないという。カナダの現在のプロジェクトのスローガンは「育児は世界最高の仕事だよ、お父さん」というものだそうだ。
以上3つのうち後の2つは日本でも採用できる視点ではなかろうか。要は、お父さんの「義務」を増やすのではなく、楽しみを増やすように訴えていくことだ。そうした視点転換、価値転換が伴ったとき、父親の育児参加は日本でも劇的に進むのではないかと思う。




