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Q. 2歳5か月のイヤイヤ期の息子への対応について、夫と意見が異なります。 (2015.1)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳5か月の息子が「イヤイヤ期」に入ってから、本人にとって嫌なこと、がまんや努力が必要なことを嫌がるようになりました。最近はそれらのことをさせるたびに、説得や励ましを繰り返し、本人がしぶしぶながらも納得して行動するのを待っています。成長に必要なことだと考えてやっているのですが、イクメンの夫は「叱って無理にでも従わせるのがしつけだ」という意見です。また、言葉かけも「〇〇ができないと嫌いになる」など否定的な言葉を選ぶことが多いので、夫には「あせらないでほしい」「劣等感をもつ表現は避けてほしい」と頼みますが、夫は、私のやり方は子どもを甘やかしているだけだと考えているようです。教育方針のズレは子どもも混乱すると思うのですり合わせをしたいのですが、具体的な解決法が見つからず、困っています。

回答者: 高橋惠子先生

 モスクワに生まれて後にアメリカで活躍した著名な心理学者が、当時のソビエト連邦とアメリカ合衆国での子どものしつけと教育を比較して『二つの世界の子どもたち —アメリカとソ連のしつけと教育』(ブロンフェンブレンナー著、1970年刊行)という本を書きました。

 この著者が発見したもっとも大切なことのひとつは、アメリカでのように、「子どもが成長する過程で異なる考えをもつ人々と出会うことは、幸せで重要なことだ」ということでした。私も、これはとても大切な発見だと考えています。子どものまわりの人がすべて同じ考えをもち、同じ方法で子どもに接することは、よほど強い社会的強制がない限りありえません。人はそれぞれ自分の考えをもつ生き物ですから、誰もが同じ考えになるというのは不自然ですし、無理であることを、この本から学びました。

 母親と父親、母親と祖母とのしつけや教育方針のズレについての相談をよく受けます。母親はとかく周囲の人々が自分とやり方が異なることに心を痛めることが多いのですが、そのたびに私はこのブロンフェンブレンナーの指摘を思い出します。大きな教育方針(どういう人に育ってほしいか)について一致していること、体罰や脅しでのしつけをしないこと、などの大筋で合意していれば、細部やその方法が異なるのはあたりまえのことだといえましょう。

 それぞれの人が、それぞれのやり方で、子どもをかわいがることがあってよいし、そのほうが自然だと思います。父親が厳しければ、子どもはそういうこともあるのだと知るでしょう。子どもがそれで悲しむのであれば、そのときには、母親が自分のやり方で支えればいいでしょう。父親がやり過ぎていると思えたとき、母親が甘すぎると思えたとき、その時々に話し合えばいいでしょう。大切なことは、しつけや教育においても、異なる考えをもつことを認め合うことだと考えます。それは子どもにとってもプラスだと思います。