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産後のからだ

Q. 不妊治療の末、出産。産後2か月ですが、2人目も治療が必要? (2016.7)

  • (妊娠週数・月齢)産後

多嚢胞性卵巣症候群で無排卵でしたが、3か月ほどの誘発剤の治療で妊娠しました。妊娠中は、切迫流産で2週間の自宅安静、切迫早産で1か月の自宅安静、2か月の入院安静とトラブル続きではありましたが、38週で元気な男の子を出産しました。まだ産後2か月ですが、30歳ということもありなるべく早く2人目の妊娠を希望しています。出産後も多嚢胞性卵巣症候群、無排卵の治療は必要でしょうか?また、産後1年以内に妊娠すると流早産のリスクが高まると聞きましたが本当でしょうか?妊娠中のトラブルが多かっただけに心配です。

回答者: 安達知子先生

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、(1)無排卵や無月経などの月経異常、(2)多嚢胞の卵巣:超音波検査で同じ大きさの小さい卵胞(卵子を包んでいる袋)が卵巣に多数並んでみえる状態、ホルモン調節系の異常(ホルモンの血液検査で評価)をみとめる症候群です。排卵障害があるため、不妊症になりやすく、排卵誘発剤を使用すると、多くの卵胞が一斉に発育して、多数が同時に排卵するため、妊娠した際に双胎や三胎以上の多胎妊娠になったり、卵巣が腫れて腹水や胸水などがたまりやすい卵巣過剰刺激症候群という少し危ない状況になったりすることもあります。しかし、時に自然に排卵することもあります。

 排卵誘発剤の使用も、軽い経口薬のものから、注射薬を何日も使用する方法など、いろいろあります。現在は、できる限り一度にたくさん排卵しないように、誘発剤の使用法を工夫したり、卵巣過剰刺激症候群が重症化しやすい方は、体外受精に切り替え、受精卵を凍結保存して安全な時期に子宮に1つの受精卵を戻す治療などを行うこともあります。

 ご質問の方は、前回は排卵誘発剤のたった3か月の使用で妊娠され、おそらく単胎妊娠(1人の胎児)だったと思われます。妊娠まではとても良い経過だったのではないかと思います。初期は卵巣も腫れたりするので安静にしていただいたようですが、切迫早産はPCOSが原因というわけではないと思います。現在2人目を考えておられるようですが、もともとPCOSですと、無排卵のまま、場合によっては無月経のまま分娩後2〜3年経過してしまうこともよくあります。どのくらい授乳をしたいかにもよりますが、1年くらい経ったら、かかりつけ医を受診して、まずは月経を誘導してもらってください。時々自然排卵が起こり、自然に妊娠する方もいらっしゃいますが、基本的に、排卵誘発剤を使用するものと思って、妊娠にチャレンジしてください。なお、付け加えれば、PCOSとは関係なく、次回も切迫早産になる可能性はかなりあります。