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産後のからだ

Q. 帝王切開後の癒着が心配です。 (2023.3)

  • (妊娠週数・月齢)産後

帝王切開後の癒着について教えてください。帝王切開で出産し、現在産後2週間です。帝王切開の際にセプラフィルムというものを使ったと説明を受け、産後に調べたのですが、それを使えば、癒着は防げるのでしょうか? 現在、体調は良好なのですが、自覚症状がないままに癒着からの腸閉塞が起こらないかと常に心配で、食べることを楽しめなくなってしまいました。

回答者: 安達知子先生

 開腹手術後は個人の体質にもよりますが、多かれ少なかれどこかに癒着するリスクはあります。通常は腹壁を切開後、腹腔内には腸間膜や腸管が見えます。目的としている臓器にたどり着くまで、腸間膜や腸管を触り、摘出する臓器へ酸素を送る血管(栄養血管)や靭帯を剥離・切断する操作が入ります。

 しかし帝王切開手術は、腹壁切開後、すぐ真下に大きな子宮があり、子宮体部の下部を切開して赤ちゃんと胎盤を取り出す手術であるため、腸管を触る必要はなく、他の臓器との間を剥離する操作なども必要ありません。基本的に癒着する可能性があるのは、切開した子宮壁の縫合部位と腹壁の間くらいです。ここには腸管は入り込みません。念のためセプラフィルムという癒着防止剤のフィルムを子宮前面に添付しているため、さらに癒着の可能性は低くなります。なお、複数回の開腹手術や子宮内膜症や骨盤内感染症の既往のある方、今回帝王切開の理由が子宮内感染であった場合は、癒着のリスクはより高くなりますのでそれなりの注意は必要です。

 一般的に開腹手術をすると腸管の動きは一旦止まり、その後ガスが出て、腸管の動きが元通りになるまでには数日から1~2週間はかかります。その間、食べすぎたり、消化の悪いものを食べたり、水分を十分に摂取しなかったり、不動の状態でいると、腸内の食物残差(食べ物のかす)が長く腸管内に停滞して、腸閉塞症状を引き起こす可能性もあります。現在2週間が経過しているとのこと、腸閉塞の可能性はほとんどないと考えられます。しかし、母乳栄養などで水分が母乳産生に取られるため、水分摂取を十分に行い、便秘にならないように注意し、お食事を楽しんでください。