令和3年度 受賞者所感

秋田県・医師 佐藤朗(さとう あきら)秋田赤十字病院

 このたびは栄誉ある母子保健奨励賞を賜りまして、身に余る光栄に存じます。周産期医療に関わる多くの方々の暖かいご指導・ご支援の賜物と存じます。また、秋田大学医学部産婦人科学教室には良き上司、同僚、後輩に恵まれ、多くのご指導・ご支援をいただきましたことを深く感謝申し上げます。

 長時間の陣痛を乗り越えて出産された安堵の表情のお母さんと元気に産声を上げる赤ちゃん、その出産に立ち会って喜ぶお父さん、産婦人科医師、助産師など周囲の方々の祝福とねぎらいの声。実習のときに初めてお産に立ち会った際、この光景に心を動かされ、産婦人科医を志し、以来、27年間、周産期医療の中で母子保健活動に携わっています。主に県内の周産期センターに勤務し、外来紹介・救急搬送で集まってくるハイリスクの妊婦さんの周産期管理に従事してきました。すべての妊婦さん、赤ちゃんが医学生のときに立ち会ったお産のように健康に経過するわけではなく、現在の周産期医療のベストを尽くしても死産、母体死亡に至る例もありました。秋田県の周産期死亡率は全国平均と比較して良好とは言えない状況にあり、秋田県の周産期医療の改善を目指して、秋田県の受託事業である「周産期死亡調査」と秋田県産婦人科医会の母子保健事業の一つである「重症管理妊産婦調査」が立ち上がり、私はその事業の運営と調査の実働に従事してきました。加えて秋田県母子保健分科会、秋田県新生児聴覚検査対策委員会の委員も務めさせていただいております。また、令和2年より担当となりました秋田県災害時周産期リエゾンとして、災害時の周産期医療に備えて平時からの準備活動を広げていきます。今後も周産期医療に関連する多くの方々のご支援・ご協力をいただきながら、私自身が周産期医療に関わることになった初心と原点を忘れずに、母子保健活動を継続・発展させていく所存です。