令和3年度 受賞者所感

山形県・助産師 菊地圭子(きくち けいこ)山形県立保健医療大学

 このたびは栄誉ある母子保健奨励賞を賜り、身に余る光栄に存じます。これまで授業の機会を数多く与えていただいた学校関係者の方々や児童生徒の皆様に、心より感謝申し上げます。また、私が授業に出向く一歩を後押しし、ご指導くださいました諸先輩方、山形県看護協会をはじめとする関係機関や職場の皆様、性の健康教育に携わる助産師仲間、すべての皆様のご支援とご指導に深く感謝申し上げます。

 私が小中高等学校での出前授業に従事するようになり、14年がたちました。初めての授業は小学校でした。それまで小学生を対象に話をしたことはなかったので、話の途中でいろんな反応を自由に示す子どもたちや人形の抱っこで騒ぐ子どもたちに、どのように対応したらよいかとても戸惑ったのを覚えています。いまでは子どもたちからの反応がむしろうれしく、やりとりをしながら落ち着いて進められるようになったので、少しは成長できたかなと思います。

 限られた時間の中で、外部講師がさまざまな発達段階にある対象者に授業に行い、関心をもって理解してもらうことはとても難しいことです。また、出前授業は生ものですので、同じ内容を行っても対象者から得られる反応はその都度異なります。そのため年月がたってもなお、この授業で十分だったと思うことはなく、むしろ実施するたびにこの授業で本当に良かったのだろうかと考えることが多くなったように思います。

 現在は健常の児童生徒を中心にいのちと性の健康教育を行っていますが、知的障がいや身体障がいをもつ児童生徒にも性の健康教育のニーズが高くあります。また、LGBTQなど多様な性を踏まえた健康教育も求められています。今後は性の健康教育に求められる多様なニーズに応え、若者が自分自身について考える種をひとつでも与えられるような授業になるよう、新しいアイデアや工夫を考えながら授業に取り組んでまいりたいと思います。