令和3年度 受賞者所感

京都府・助産師 新宮美紀(しんぐう みき)みき助産院

 このたびは、栄誉ある母子保健奨励賞を賜り誠にありがとうございます。これもひとえに母子医療、母子保健に関わる関係機関の皆様、助産師会諸先輩、会員の皆様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。また、私と関わってくださった母子とご家族の皆様、助産師の仲間全員の栄誉と受け止めております。

 このたびの新型コロナウイルスの影響拡大により、私たちの生活は大きく変わりました。その中で、お産や子育てが困難になり、心身の不調をきたす母子を見てきました。地域のさまざまな場所で人と何気なく話す機会も減り、お産の立ち会いができなくなり、一人でお産をするお母さんたちの不安は高まりました。退院してからも、実家に帰れない、産後手伝ってもらう人がいないなど産後の支援も得にくい状況で、心身共に疲弊しきったお母さんの産後ケア入院が増えました。そんな状況の中で、健やかにお産、子育てをするために、心身共に健康に生きるためには、人とのつながりと支援が不可欠だったのだとあらためて気づかされました。21世紀の母子保健の方向性を示す「健やか親子21」の最終評価では、児童虐待による死亡数は変わらず、10代の自殺率は悪くなっているという結果が出ました。虐待も自殺も親子や、若者たちの人とのつながりが何らかの形で途切れ、孤独に追い込まれていることが想像できます。「健やか親子21(第2次)」では、基盤課題の1つに「子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり」があります。私は、いままでの経験から、子どもが健やかに育つためには、お母さんが安心して出産、子育てができる地域の環境づくりが重要と感じています。子どもの成長に最も必要な環境は、心身共に健康なお母さんが笑顔でそばにいてくれることです。子どもの健やかな成長のために、これからもお母さんを中心に、子ども、家族、地域の方々とのつながりを大切にしながら、母子保健活動に貢献していきたいと思います。