令和3年度 受賞者所感

さいたま市・助産師 増子麻里(ましこ まり)増子助産院

 このたびは栄誉ある母子保健奨励賞を賜り、身に余る光栄に存じます。これもひとえにご指導いただきました助産師会の皆様、さいたま助産院の皆様、災害対策委員会の皆様、保健師の皆様、行政・関係機関の皆様のご支援のおかげと心より深謝申し上げます。

 私は病院勤務や保健センター、助産所勤務、そして自分自身の子育てを通して、地域で母子にずっと寄り添う助産所に魅力を感じ開業をいたしました。そしてさいたま市地区助産師会、埼玉県助産師会の災害対策委員長を務め、行政と災害の話を進めるうちに、母子は災害時要配慮者であり海外では第一に守られる存在であるのに日本ではそのような位置にない現状を知りました。ほとんどのママは遠慮があり、災害時は訴えも少なくニーズが見えにくく支援も届けにくい特徴があります。災害時の分娩も総合・地域周産期母子医療センターに集中するといわれ、早期退院となり、帰る場所は被災地です。避難所では気をつかい、自宅においても手伝いはなく、地域にいる助産師会の存在は重要と考えます。このような現状を防災課に相談し、病院をはじめ関係機関との研修会を企画し何度もご協力をいただきました。そして健康増進課、保健所の皆様と定期的な話し合いの機会を作ることができ、さいたま市と災害時のフローを作成いたしました。このさいたま市とのフローから、さいたま市地区助産師会も実際に会員が動けるように災害時のマニュアルを作成しております。また、さいたま市と委託契約をしている産婦新生児訪問等の災害時の対応についても、保健所担当部署にお願いし話し合いを予定しております。埼玉県との調整も進め、リエゾンにおいても助産師会でスムーズに支援開始できるよう今後も災害時のシステム構築に力を尽くしていく所存です。母子を守るということは最終的にはその地域全体を守るということにつながります。そんな心温かい地域を目指し、今後もずっと母子に寄り添っていきたいと思います。