令和3年度 受賞者所感

越谷市・助産師 横井聖美(よこい きよみ)
訪問看護ステーションひまわり越谷・まちの助産婦

 このたびは栄誉ある母子保健奨励賞を賜り、身に余る光栄に存じます。今回の受賞につきましては、これまでご指導を賜った諸先輩方、地域で母子保健に携わるすべての職種の皆様のお力があってのことであり、深く感謝申し上げます。

 母子保健の目的は、母子保健法により、「母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を図るため」に、保健指導等の措置を講じ「もつて国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定められています。

 私は、助産師資格を取得してのち、病院の産婦人科に勤務し、8年前に埼玉県越谷市に助産院を開設しました。その理由は、母子とじっくり向き合う時間を持ちたいと感じていたからです。産後ケア専門助産院として、乳房ケア等を行い、また、自治体から委託を受けて新生児訪問を行ってきました。1組の母子に1時間向き合い、「話を聴く」ことに注力しました。その活動を数年間続け、自分が思い描いていた支援の在り方に近づいたように感じていましたが、開業助産師には1組の母子を継続して支援することが困難である、という新たな課題に気が付くことになりました。特に、精神疾患を抱える母親とその子に対して、1回目の訪問で継続支援の必要性を感じたとしても、2回目の訪問ができにくい構図になっていました。

 そんな折、助産師にも訪問看護ステーションを開設できることを知りました。私は、1組の母子に、助産師が継続支援を行えるチャンスだと思いました。いまから5年前、越谷市に訪問看護ステーションひまわりを開設しました。現在、系列の3ステーションにおいて、精神疾患を抱える母親とその子で構成されている家庭の利用は33で、全利用者の14.9%を占めています。

 コロナ禍の現在、母子が生活上で抱えている問題は多くあります。母子保健の目的である、母子並びに乳児及び幼児の健康増進を図れるよう、今後も「助産師が所属する訪問看護ステーション」をキーワードに継続した支援体制を作っていきたいと考えています。