令和3年度 受賞者所感

豊橋市・助産師 伊藤僚子(いとう りょうこ)豊橋市健康部保健所

 このたびは栄誉ある母子保健奨励賞を賜り、身に余る光栄に存じます。今回の受賞につきましては、諸先輩方をはじめ、保健所職員の皆様、周産期や生殖医療機関、学校教育の先生方、母子保健行政に関わる方々のご指導やご支援の賜物と深く感謝申し上げます。また、この受賞は豊橋市の母子保健活動を評価していただいたものとして、母子保健に携わった関係者全員の栄誉と受け止めております。

 私の勤務する豊橋市保健所は、中核市としての保健所機能と保健センターの役割を持っています。近年は、新型コロナウイルス感染症の対策に余念がなく、私自身も感染した妊婦への支援をはじめ、妊婦のワクチン接種や産科医療機関との連携体制の整備に尽力しました。多忙を極める保健所内に、今回の受賞という明るいニュースが、私たちに笑顔をもたらしてくれました。

 私には母子保健活動における3つの重点目標があります。それは、「思春期の子どもたちが、健康に対する正しい知識を選択し行動がとれる」、「女性が望んだ時に妊娠、出産できる」、「親が笑顔で子どもを育て幸せと感じられる」ことです。目標達成のためには、時代の変化に伴うニーズ把握と方法の検討、実施した事業の有効性を評価し新たな手法へ挑む勇気と労力が必要です。思春期保健ではライフスキルを育む活動、不妊・不育対策としての妊孕性教育、そして、子育てに幸福感を持てるためには家族に寄り添う共感が重要です。

 これからの母子保健活動で私の果たすべき役割は、思春期にある若者のヘルスリテラシーを高め意思決定を促すこと、性と生殖に関する健康と権利が守られる社会を実現すること、子育て世代と地域住民との絆や関係を結びつけてソーシャルキャピタルを醸成することです。そして、この長期的な課題解決のためには、持続可能な連携体制の構築と、未来の母子保健活動を共に担える専門職の人材育成も必須条件と捉え、尽力してまいりたいと思います。