赤ちゃん&子育てnews|公益財団法人母子衛生研究会"

Hibワクチン Q&A

2009年8月 7日

昨年末(2008年12月)から、Hibワクチンの供給が始まりました。
 ※2013年4月から定期接種になりました(2013年5月追記)

これまで日本で供給されていなかったワクチンだけに、「Hibワクチンって何?」「いつごろ接種したほうがよいの?」「他のワクチンと時期をずらしたほうがよいの?」など、よくわからないというかたも多いことでしょう。

そこで、Hibワクチンについての基本的な情報について、渡辺博先生(東京大学大学院医学系研究科小児医学講座講師)にご回答いただいた内容をお届けします(月刊「母子保健」2009年8月号掲載記事より)。
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《待ち望まれたHibワクチンの接種が開始》
 回答:渡辺 博先生

 Hibは「インフルエンザ菌b型」の略称で、髄膜炎や肺炎、喉頭蓋炎などの原因となる細菌です。0~1歳の乳幼児に発生頻度が高く、感染症を引き起こすと重い後遺症が残ったり死亡する例もあります。初期症状は風邪と区別がつきにくく診断の難しい病気ですが、ワクチンの接種で予防することができます。

Q. 定期接種でないのは、打たなくてもよいということ?
   (2013年4月から定期接種になりました。2013年5月追記)

A. 乳幼児のHib感染症はきわめて重症で、Hibワクチンはこれをほぼ完璧に予防します。世界的にもHibワクチン接種の歴史はすでに20年を超え、その有効性、必要性、安全性は実証済みです。日本で定期接種にならないのは医学的な理由とはまったく別の、よくわからない理由によるものです。ぜひ接種してください。

Q. 必ず髄膜炎は防げるの? 安全性も気になります。

A. 乳幼児の細菌性髄膜炎のうちおよそ6割はインフルエンザ菌b型によるものです。Hibワクチンがインフルエンザ菌b型による細菌性髄膜炎をほぼ完璧に予防することが海外での使用経験から明らかになっています。
 日本で使用が開始されたHibワクチンは輸入ワクチンで、海外ではすでに多数の乳幼児に接種されていますが、他のワクチン(たとえばDPTワクチンなど)と比べ、重篤な副反応が多いといった事実はこれまで報告されていません。

Q. ほかの予防接種との間隔は?

A. Hibワクチンは不活化ワクチンという種類のワクチンです。日本独自の決まりとして、不活化ワクチン(Hibワクチン)の接種後は他のワクチンを接種するまで最低1週間の間隔を空けるよう定められています。また他のワクチンの接種後Hibワクチンを接種する場合には、生ワクチンの接種後の場合は4週間、不活化ワクチンの接種後では1週間の間隔を空ける必要があります。
 ただし他のワクチンと同じ日に接種する同時接種、同日接種は可能です。ワクチンの同時接種は日本以外の国では現在、日常的に行われている医療行為です。これまで黄熱病ワクチン以外で問題が指摘されたことはありません。日本ではワクチンの同時接種はこれまで積極的に行われてきていませんが、これは医学的な理由からではありません。

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(以上、月刊「母子保健」2009年8月号より)