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仕事と子育て

Q. 2歳半の子の働く母。出張を指示されましたが子どもが心配で迷っています。 (2012.8)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

1年あまりの産休・育休を経て復職し、1年がたちました。子どもは2歳半になり、保育所に通っています。これまで出張を免除されてきましたが、数か月後に1週間の出張を指示されました。その間子どもの世話は夫と実家などに頼ることになります。双方とも実家は遠く、夫の両親とは1、2か月おきに、私の両親とは半年おきに会う程度です。子どもは普段でも私の帰りが遅くなると不安がり、夫ひとりではなかなか落ち着かせられません。
出張はスキルアップ研修で今後もチャンスはありそうで、行くかどうか迷っています。遅れを取り戻したい思いや、「やる気」を見せたい思いがある一方、子どものことが心配です。かなり不安定になると予想されますが、精神的に悪影響はないでしょうか。また、出張する場合は子どもにどんなケアが必要でしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 母親が育児の責任をもっぱら負うという日本では、ご質問者の悩みは子どもを育てながら自分自身の活動(勤めや家業などの仕事、社会的活動、趣味など)をしたいと希望する(あるいはしなければならない)女性たちに共通のものだと思います。

 「もう少し子どもが大きくなるまで待ったほうがいいか」「またチャンスがあるだろうからそのときまで延ばしたほうがいいか」「子どもがいやがるからやめようか」「子どもに悪い影響があるのではないか」などという心配や揺れる気持ちは理解できます。自分の活動をしようとする母親は、当分の間(たとえば、少なくとも小学校低学年頃まで)、このように心を揺らし続けることになるでしょう。

 まず、肝心なことは母親の決心だと思います。自分はどのような人生を送りたいか、人生90年時代の設計をどうしたいかを考えてみましょう。多くの女性が、強い意志によって、あるいは必要に迫られて、この問題をそれぞれ乗り越えてきています。

 子育ては重要な事柄ですが、母親の人生の一部でしかありません。女性は子どもの世話だけでは十分に生きている感じが持てないという多くの調査報告があります。そして、子どもの側にも、母親が自分を生き甲斐にする「重い負担」が指摘され、さらには、自分のためにやりたいことをあきらめた母親に「申し訳ない」という罪の意識すら報告されています。

 母親が自分の仕事や生きる目標を持つことは、素晴らしいことです。自分の世界を持つことで、人間としても、親としても成長できます。そして、そのことは子どもにとってもプラスになります。

 もしも、自分の活動を続けていこうと決心したら、子どもをもつ親として準備が必要です。

 まず、「子どもは私がいなければ不安になる」「子どもにとって私がいちばん」というのは、母親の“思いこみ”だということを知るべきです。私たちの調査では、母親が考えているほどには子どもは“お母さん子”ではありませんでした。母親の1週間の不在が子どもに精神的な悪影響をもたらすのではないかという心配は無用です。むしろ、離れてみることで進歩があると思います。

 母親の留守中、子どもは荒野にひとりで置かれるわけではありません。子どもは父親、祖父母、知り合い、友だちなど多くの人に囲まれて暮らしているはずです。父親や祖母は母親に代わって子どもの気持ちを支えうる人のはずです。子どものネットワークを点検して、子どもの人間関係が豊かか、いざというときに父親は役に立つか調べてみてください。まだ数か月あるということですから、こういうネットワークの用意ができるとよいでしょう。

 もしも、母親がいないといって泣くようなことがあっても、ご相談者の場合のように2歳半になれば、母親がやがて戻って来ることを理解できるはずです。「お仕事だから」と説明しましょう。これからも「お仕事」は有効なキーワードになることでしょう。

 母親が子どもの能力を信じ、さらに、父親や祖父母の育児力も信じて任せてみるという気持ちが、子どもにも任される人たちにも挑戦してみようという気持ちを起こさせることでしょう。

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