発育・発達
Q. 生後10か月。おすわりが上手にできません。どんな対応が必要ですか。 (2013.3)
- (妊娠週数・月齢)10か月
生後10か月です。斜頸がややあり、おすわりがまだ上手にできません。つかまり立ちはできます。健診では、おすわりのリハビリをして経過を見るとのことでしたが、理学療法などで発達を促せるなら1日でも早くと思います。専門病院で検査をしなくてもいいでしょうか。これまでの発達は首すわり5か月、おすわり9か月、つかまり立ち10か月などで、あやすと笑い、目も合いますが、はいはいはしない、おすわりは座らせると数秒から数十秒はしますが、すぐに倒れてしまいます。また、寝返りの姿勢から自分で座ることができません。小さい物はつかめます。神経や筋肉の障害の有無を検査する場合、どんな検査が必要ですか。被ばくの心配がありますか。そうしたリスクがあっても検査すべきかどうかも含め、いま必要な対応についてご意見を聞かせてください。
回答者: 横田俊一郎先生
運動発達の遅れについてのご相談です。
おすわりは発達の大切な通過点ですが、単におすわりといってもいろいろな段階があります。5か月頃になると腰を支えると座れるようになり、6か月では両手を前について、背中を丸くして座れるようになります。7か月になると両手を離して背中を伸ばして座れるようになり、8か月になれば体をねじって横のものが自由に取れるようになります。10か月で後ろに倒れてしまうのは、確かに「遅れ」と言えます。しかし、つかまり立ちはできていることから、決定的に大きな遅れがあるとは考えにくいようにも思います。つかまり立ちは発達の順序からいえば、おすわりやはいはいより先の能力だからです。
できないのではなくやる気がない、頭が大きく安定しない、おすわりをするチャンスが少なく上達しない……などが原因で、短期間でしっかり座れるようになることもよくあります。「斜頚がややあり」ということは、頭が大きくて首すわりも少し不安定なのかもしれません。お子さんを実際に診ているわけではないので確定的なことは言えませんが、精神発達も正常なのであれば、まずは1歳くらいまで発達の様子を見ていくのがよいと思います。
おすわりが遅れる赤ちゃんのなかには、足をピョンピョンしないで床につけようとせず、うつ伏せも嫌いで寝返りもほとんどしないという赤ちゃんがいます。このような赤ちゃんは座れるようになっても座ったまま移動し、立つのが遅れます。「シャフリングベビー」と呼ばれ、正常発達のバリエーションのひとつですが、ご相談のお子さんはつかまり立ちができているので、これとは違うかもしれません。
一方、いろいろな病気のためにおすわりが遅れることもあります。
ひとつは全体的な発達の遅れです。動きが少なく顔の表情が乏しい、バイバイやチョーダイの意味が理解できない、視線が合いにくいなどの症状がある場合にはその可能性があります。また、筋肉が異常に柔らかかったり硬かったりするときには、脳性麻痺や筋肉の病気も考えてみなくてはなりません。筋肉の病気を疑うときにはまず血液検査を行い、筋肉と関係する酵素の値が上がっていないかを見ます。また、脳性麻痺などを疑う場合には頭部CT検査やMRI検査をします。CT検査では被ばくはありますが、その量はあまり問題にはなりません。
脳性麻痺ではリハビリが必要ですが、ご相談のお子さんは、まず家庭でよく遊んであげる、地域の保健センターなどが行っているフォローアップ教室に通ってみる、などの対応でよいのではないかと思います。何よりも、ふだんのかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。