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発育・発達

Q. 3か月健診で体重の伸びが悪いと言われました。病気の可能性はありますか。 (2013.7)

  • (妊娠週数・月齢)4か月

出生体重3,422g、身長52cmで生まれた娘が、生後3か月の健診では体重5.98kg、身長59cmで、体重の伸びが悪いと指摘されました。4か月時は体重7kg、身長65cmでした。あと数日で5か月になりますが、4か月のときから体重が0.1kgしか増えていません。4か月以降、予防接種で体調不良を起こしたり風邪をひいたりしましたが、あまりにも増えがよくない気がします。完全ミルクなのですが、飲みが悪く、つい最近まで500〜600mlしか飲みませんでした。いまはやっと800mlまで飲んでくれるようになりましたが、このまま経過観察でよいでしょうか? それとも精密検査などが必要な状況でしょうか。体重の増え方が悪いとき、どのような病気の可能性が考えられるでしょうか。

回答者: 多田裕先生

 赤ちゃんの身体発育が順調かどうかを知るため、私たちは健診などで「身長」「体重」「頭囲」の3つの項目について計測します。そして、その変化を母子健康手帳にある身体発育曲線に記録しますが、このなかで、計測したときの栄養状態や体調変化の影響をもっとも受けやすいのが体重で、次に身長、そしてもっとも影響を受けにくいのが頭囲です。

 つまり赤ちゃんの体重は、計測したときに何らかの理由でおっぱいやミルクの飲みがあまりよくなかったとか、風邪などの感染症で下痢をしていたなど体調の変化によって左右されてしまうのです。また、授乳の前と後、うんちやおしっこの前と後でも数値がかなり違うため、一回毎の計測値に一喜一憂する必要はありません。

 とはいえ、赤ちゃんの体重がその子なりに増えていくことは重要で、約3,000gの標準体重で生まれた赤ちゃんなら生後3か月のときに約6kg、1歳のお誕生日を迎えるころには約9kgになるのが順調な発育の目安です。

 では、一回毎の数値に振り回されず、体重増加が順調かどうかを見ていくにはどうすればいいのかという点ですが、まず、心がけていただきたいのは少し長期的な視点で見守ること。そのために役立つのが母子健康手帳にある身体発育曲線です。
 ご存じのようにこれはグラフになっており、身長・体重・頭囲それぞれについて94%の子の数値が入る帯が示されています。ここに、お子さんが生まれてから現在までの身長や体重の変化を書き入れてみましょう。多少の変動はあっても、このカーブに沿って増えていれば順調に発育していると考えられます。しかし、ある時点からずっと横ばいが続くとか、カーブが下降していくようなときは、何らかの体調の変化があるのではないかと注意深く見守る必要があります。

 ご相談の赤ちゃんの身長・体重の変化を書き入れてみると、身長が大きいこと、体重は生まれたときは大きめだったが、その後は帯の真ん中あたりをカーブに沿って増えていることがわかります。
 生後3か月の健診で体重の伸びが悪いと指摘されたとのことですが、出生体重は胎内の環境や在胎週数などの影響を受けたり、むくみがあって少し多めだったという場合も少なくなく、必ずしもその子本来の体格を示すとは限りません。また、4か月からの伸びが悪いという点についても、予防接種や風邪などで体調を崩していたとありますので、その影響によるものとも考えられます。

 体重の伸びが極端に悪い状態が長く続くときには、心臓や腎臓、内分泌器官などに慢性的な疾患が隠れている場合もありますが、生後5か月になるまでに何回か診察の機会があったのならそうした慢性疾患は発見されているはずなので、これまで指摘されたことがないなら可能性は低いでしょう。
 こうしたことを考えあわせると、現在の体重増加に大きな問題はないと考えていいように思えます。ただ、定期的に身長や体重を計測して数値をグラフに書き込むことは、今後もぜひ続けてください。そして前述したように、カーブが横ばいのままであったり、急に下降し始めたようなときには小児科クリニックで相談することをお勧めします。