赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 無呼吸発作によるチアノーゼがたびたび起こります。どんな病気が考えられますか。 (2013.8)

  • (妊娠週数・月齢)0か月

赤ちゃんの無呼吸発作によるチアノーゼについて質問します。今年4月、胎盤早期剥離による緊急帝王切開で、在胎33週の早産で1,928gの赤ちゃんを産みました。1週間保育器にいて、2週間後からチアノーゼが出始めました。ミルクを飲むとき、寝ていて咳をしたときなどに顔が青紫色になり、真っ黒になったことも3回あります。予定日が過ぎても治らず、とりあえず検査入院を開始しました。初日、ミルクを飲ませているときに顔が真っ黒になってミルクを吐き、突然、全身が真っ黄色になりました。急きょ、全身の機能を調べたところ肺にミルクが入っているとのことで、ほかは異常なし。3日間点滴予定です。「食道気管支のう」の可能性があるとのことで検査をすることになりましたが、ほかに何か病気の可能性は考えられますか。また、後遺症などはありますか。

回答者: 多田裕先生

 胎盤早期剥離による早産だったとのことですが、適切な処置によって無事に出産を終えられたのはとてもよかったと思います。在胎33週で生まれても、体重が2,000g近くあり、NICUに入ることもなく保育器の中でケアや経過観察を続けてこられたのだと推察します。

 さて、ご質問の無呼吸発作ですが、この赤ちゃんの場合には食道や気管あるいは気管支のどこかに問題があって、ミルクや唾液がスムースに食道から胃に流れない、あるいは、いったん胃に入っても逆流して気道に入ってしまうために起きている可能性が高いと考えられます。

 たとえば、先天的な疾患のため食道が閉鎖していたり、食道と気管あるいは気管支の間に孔があいていて連絡していたり、食道から胃につながるところの締りが緩くて胃内容が逆流すると、ミルクが気管から肺に入ってしまって呼吸ができなくなることがあります。食道が閉鎖している疾患を「食道閉鎖症」、食道と気管の間に孔などがある疾患を「食道気管支瘻(しょくどうきかんしろう)」といいます。相談文には「食道気管支のう」とありますが、おそらく主治医の先生は「食道と気管支の間に連絡がある食道気管支瘻」の可能性を考えて検査しているのではないかと思います。

 なお、気道はのどの先が気管、その先で左右に分岐した後を気管支、その先を細気管支と呼びます。食道と連絡がある場所が気管なのか気管支なのかで食道気管瘻か食道気管支瘻かになりますが、同じような意味と考えてください。

 それから、「チアノーゼ」について説明しますと、これは血液中に酸素が十分に取れない状態になったときに顔や全身が紫色になってしまう症状で、肺や心臓に先天的な疾患があったり、循環系の疾患によって血液がうまく流れないときに起こります。また、食道や気管に異状がある場合には他の臓器にも異状を併発していることも多く、また、真っ黄色になったともあるので、循環系を含めて全身の機能を調べる検査をしたのだと思います。しかし、肺にミルクが入っているほかは異常がなかったとのことで、私も前述した病気の可能性が高いのではないかと考えます。

 いずれにしても、食道や気管の精密検査を受けられるということですから、どこに原因となる異常や疾患があるのかを詳しく調べてもらえるはずです。

 その結果、「食道気管(支)瘻」だと診断がつけば、すぐにも手術する必要があるでしょう。小さな赤ちゃんが手術を受けるとき、ご両親はさぞ心配なことと思いますが、現在の小児外科の医療技術は非常に進歩しています。必要なら積極的に手術を受けて、原因となっている疾患を根本から治療してください。

 後遺症についても、食道気管支瘻によるものはとくにありません。というより、むしろ、肺にミルクが入って肺炎になり、それが重症化するなど合併症を防止しなければなりません。チアノーゼが起きたときに酸素不足が長く続くと中枢神経にダメージを与え、二次的な障害が起きてしまう可能性もあります。

 そうした意味でも、検査で根本的な原因を探し、速やかに適切な治療を受けることが非常に重要です。