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歯とお口のケア

Q. 1歳9か月。無理な仕上げみがきで歯みがき嫌いになってしまいました。 (2009.11)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7〜11か月

1歳9か月の男児です。歯の仕上げみがきに悩んでいます。私は自分がむし歯ができやすかったため、子どもはそうさせたくない気持ちが強くあります。先輩ママから、子どもの両腕を自分の太ももの下に敷いて動けないようにしてみがく、と聞いたので、私も、前歯が生え始めた頃から嫌がる息子を同じようにして仕上げみがきをしてきました。いまでは、頑として口を開けなかったり私の指を噛んだり、お互いが強いストレスを感じています。この状態で歯みがきを好きになる機会が無く、悪循環です。母親の自己満足で、無理やり仕上げみがきをしてきたことを後悔しています。子どもが楽しく歯をみがくDVDを見せたり、親が一緒にみがいたり、友だちが楽しくしている姿を見せたりしますが、まったく効果がありません。どうすれば歯みがきを好きになり、上手に仕上げみがきができるようになりますか。

回答者: 井上美津子先生

 歯みがきについての考え方は、時代とともに少しずつ変わってきています。

 昭和50年代頃までは子どものむし歯の罹患率は非常に高く、低年齢から重症のむし歯が多く見られました。泣き騒ぐ子を抑えて治療することは、歯科医にとっても保護者にとってもほんとうに大変で、ましてお子さん本人にとっても負担の大きいものでした。そのため、むし歯の治療で嫌な思いをさせるくらいなら。多少嫌がっても歯みがきをしてもらったほうがいいということで、私たち歯科の側からも「抑えてでもしっかりみがくように」と指導しました。1〜2歳では歯みがきを嫌がる子が多いのですが、3歳近くになればほとんどの子が歯みがきに慣れてくることを経験しているからでもあります。

 しかし、最近は子どものむし歯が減少し、3歳以下の子どものむし歯は3分の1程度になりました。また、低年齢では歯みがきより食生活のほうがむし歯との関連が高いことがわかってきたため、まず食生活面でのコントロールを中心に行い、歯みがきは徐々に慣らしていけばよい、という方向に変わってきました。

 生えたての前歯はむし歯になりにくいため、最初は指で口の中を触ることから始めて、1歳頃までは子どもの機嫌がいいときに歯ブラシを口の中に入れて慣らし、だんだん歯みがきの習慣をつけていくような対応を勧めています。ジュースなどの甘味飲料や甘い菓子類を控え、おやつの回数を決めるなどの食生活の管理がされていれば、むし歯の心配をしないで少しずつ歯みがきに慣れていけばよいと考えられます。

 抑制下で歯みがきをしていても、いつの間にか慣れて抵抗がなくなる子が多いなか、ご相談のお子さんは「慣れ」や「受け入れ」が難しいようですね。お母さんが感じておられるように悪循環になっていると思われます。抑制されて無理やり実施される歯みがきに対して、ここまで拒否が強くなった状態では、急に歯みがき好きになることは難しいかもしれません。こうすれば歯みがきが好きになって、上手に仕上げみがきができるようになるという「魔法のような方法」はなさそうです。お子さんの拒否を軽減しながら、少しずつ歯みがきに慣らしていく対応が必要です。

 確かにむし歯予防は大切ですが、お子さんが一生歯みがき嫌いになるのも困ります。まずはお母さんの意識を転換する必要があるでしょう。「どうしてもみがかなければ」という気持ちを捨てて、肩の力を抜きましょう。まだ甘味飲料や甘味食品を頻繁に食べる習慣がついていなければ、歯みがきを少し休んでもそうすぐにむし歯にはなりません。お子さんも少しは言葉がわかるようになってきていると思いますので、無理にはみがかないことをやさしく話して、仕上げみがきをやめてみてはいかがでしょうか。

 その間にも、親がみがくところを見せるなどして歯みがきは「みんなが行う大切な生活習慣」であることを伝え、食後は水やお茶を飲ませましょう。うがいの習慣を少しずつ始めてもいいでしょう。そして、自分で歯ブラシを口に入れるきっかけを作っていきます。自分で歯ブラシを入れられるようになれば、歯みがきがそれほど嫌なものではないことがわかり、みがかれることに対する抵抗感も減ってくるものと思います。

 歯ブラシへの拒否が残っているうちは、ガーゼなどで清拭することから始めてもいいでしょう。身体のマッサージなど親子のスキンシップを図る一環として、お口のケアをするというイメージ作りができるといいですね。「あなたが大切だから、お口が健康に保てるようにケアしてあげたい」というお母さんからのメッセージは、きっとお子さんに伝わっていくでしょう。嫌なことはされないという信頼関係を作ることが歯みがき上達への第一歩です。