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仕事と子育て

Q. 1歳2か月。少しずつ仕事復帰したいのですが、実母が反対します。 (2011.11)

  • (妊娠週数・月齢)1歳2か月

1歳2か月の男の子の母です。現在育休中です。保育園の一時預かりを利用して少しずつ仕事を始めたいと考えていますが、実家の母親から「子どもより優先することなんて何もないのではないか」と言われ、子どもを預けることにためらいを感じています。実母は、子どもはせめて3歳くらいまでは母親が育てるのがもっともよいと考えており、私も可能な限りそうしてあげたいと思っています。しかし、お友だちも近くにほとんどいない環境なので、保育園に預けるのも悪くはないという気もします。夫は1歳10か月から保育園に通い、保育園は楽しかったと思っているそうで、毎日預けてもいいのではないか思っています。保育園に預けることが、子どもの成長や人格にマイナスの影響を与えるようなことはあるのでしょうか。また、預ける時期が早すぎることによる問題はありますか。

回答者: 汐見稔幸先生

 私自身、3人の子どもはすべて0歳から、しかもし生後数か月から保育園に預けて育てました。3人ともいまはきちんとした社会人として育っていると思います。

 小さいときに保育園に通ったことでつらかったり寂しかったことはあるかと聞いても、そんなことはなかったと言います。

 私自身も子育てを始めたとき、自分の母親から、そんなことしたら子どもがかわいそうじゃないかと言われたことを思い出します。そのとき、私自身は質問者のようには悩みませんでした。なぜなら、いまの保育園は設備も環境も充実しているし保育士も専門的に訓練されていて、家で子育ての素人が育てるだけよりも、ある意味うまく育ててもらえるようになっているということを知っていたからです。

 相談者のお母様は、昔の自分が子育てした時代のことをイメージしているのだと思います。少し前まで、子どもたちは家庭だけでなく、小さいころから家の近所で自在に遊び回り、近隣の人たちにも支えられて育つことができました。さらに前の時代には、子どもにたくさんの手伝い・仕事があり、それを担えるように育てることが育児の大事な中味をなしていました。こういう時期には、母親はわが子に朝から晩まで傍について、あれこれ指示したりほめたりしなくても、生活のなかで子どもは自然にしっかりと育ちました。母親だけで育てたわけではなかったのです。母親は、地域での子どもの自発的な遊び、仕事の手伝いなどのなかでの子どもたちの自発的な育ちに支えられて育児をしていたのです。

 しかし、いまは全く違います。近隣に子どもを放り出すことなど危なくてできません。朝から晩まで家の中で母親が育てているとどうしても煮詰まってしまいます。子どももうまく育たなくなる可能性が出てきます。

 そうした弊害を克服するには、子どもを、ほんの幼い頃から、一日の一定時間、よく訓練された保育者のいる、環境のよく整った保育園で、ゆったりと育ててもらい、朝の時間と夕方からの時間、子どもと親が家庭でゆったりとかかわるような育ちに変えることが必要になります。

 亡くなった慶応病院の小此木敬吾先生は、世界乳幼児精神保健学会の副会長をされていましたが、この権威ある国際学会の幹部たちの間で、こうした時代になった以上、子どもたちは世界中ですべて0歳からきちんとした保育園で育ててもらった方がよく育つと言っていこう、という点で合意したと言っています。同じ主旨の発言を国会でもされています。

 0歳からすべての子どもが保育園で育つのがいいかどうか、議論が必要でしょうが、権威ある学者さんたちがそういうことを言っている時代なのだということは知っていてよいと思います。すでに、アメリカでも日本でも、保育園育ちと幼稚園育ちで、その後の発達には差が全くないということも実証されています。

 ですから、ご相談者は、保育園でも大丈夫だということに確信を持ち、少しでも預けやすく信頼性の高い保育園を探し、実際に預けてみることが大事だと思います。そこで子どもが喜んで保育園に通っている姿をお母様に見せて、時代が変わったということを納得してもらうしかないのではないでしょうか。