妊娠中の気がかり(タバコ・アルコール・薬・レントゲンなど)
Q. 妊娠5週で造影剤を使用したMRIを受けました。 (2026.9)
(妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)
妊娠5週のときにクリニックに行ったのですが、hCG2000台なのにエコーで胎嚢が確認できず、異所性妊娠の疑いがあるとして、造影剤(ガドリニウム)を使用したMRIを行いました。その結果、子宮内に着床していることがわかり、数日後の健診で成長していることを確認しました。しかし、インターネットを見ていたら、妊婦へのガドリニウムの使用は禁忌で、胎児の皮膚障害や死亡リスクを上昇させると書いてあり、心配です。実際、どの程度の確率でどういった影響があるのでしょうか。
回答者: 安達知子先生
妊娠中の薬剤投与については、現在日本での承認薬に関しては絶対禁忌となるものは極めて少ないです。ヒトでの使用実績が少ないものや、催奇性はないが有害作用が疑われるもの、あるいはヒトでの試験が実施されていない場合などには、一般的に投与はしません。投与する有益性がリスクを上回ると判断されるときのみ、妊婦への使用が容認されます。
造影剤を使用したMRIなどの画像診断は、基本的に母体の生命の危機的状況に関して詳細な診断をする必要がある際や妊娠中に発見された悪性腫瘍でその進行・拡大状況を診断する際には、行うことはありえます。
そもそも薬の使用に関係なく、出生児の先天異常は、小さい異常を含めると一般的に30~50人に1人、2~3 %位の割合でみられることを知っていていただきたいと思います。たとえば、心奇形は100人に1人、1 % の割合で起こることが知られています。大部分の薬は、奇形の自然発生率を高めることはありません。また、流産率は母親の年齢によって異なるものの、一般的には15%程度(6~7人に1人)とされます。
MRIの造影剤ガドリニウム(Gd)はアレルギー反応やアナフィラキシーショックなどに関しては安全性の高い造影剤です。以前、死産、新生児死亡、出生後のリウマチ様皮疹・炎症性皮膚症状の発生率が上昇したという報告はありましたが、その後、とくに自然発生率以上に上昇させることはないとする報告が出ており、正確なデータはありません。
薬剤による影響についても、造影剤であるため1回のみの使用であり、疾患や症状を抑えるための治療薬のように繰り返し薬剤が使用されているわけではなく、本剤による胎児や妊娠継続への影響は、通常の妊娠中におこる異常の頻度を高めるものではありません。なお、重篤な影響があれば、胎児に先天異常等が出るというよりは、流産・死産に至ると考えられますが、現在妊娠は順調に経過されているようで、その心配も極めて低いと考えられます。
