歯とお口のケア

Q. 2歳半の子。上の子の歯ブラシで、歯みがきをしてしまいました。 (2026.9)

(妊娠週数・月齢)2歳

2歳半の子の歯みがきなのですが、先日、9歳の上の子が使った歯ブラシで、下の子の歯をみがいてしまいました。翌朝気づき、よく歯みがきをしましたが、むし歯菌や歯周病菌は感染してしまったでしょうか? 上の子もむし歯には気をつけていたので、むし歯は一本もないのですが、むし歯菌はいますよね? また、歯ブラシはさっと洗って乾燥していましたが、それでも感染してしまうものでしょうか? いままで気をつけてきたのに、後悔しています。

回答者: 井上美津子先生

 9歳の上の子が使った歯ブラシで、2歳半の下の子の歯をみがいたことで、むし歯菌などの感染を心配していらっしゃるのですね。
 「感染」と表現すると、「すぐ病気になるのでは?」という心配が生じますが、むし歯や歯周病の原因となる菌が口の中に入ってきても、すぐ発病するわけではありません。

 むし歯の場合、ミュータンス菌などのむし歯菌が歯の表面の歯垢(プラーク)の中に住みついて(定着)、飲食物の中の糖分を代謝・分解して酸を作ること(酸産生)で、歯の表面からカルシウムなどのミネラル成分が溶け出すこと(脱灰)が、むし歯の始まりです。この脱灰も、一度起こったらすぐむし歯ができるわけではなく、糖分の多い飲食物を頻繁に摂取することで酸産生が繰り返されると、脱灰が進行してむし歯が発生するわけです。
 このように、むし歯菌が口の中に入ること(伝播)から、むし歯が発生するまでには、多くのステップがあるので、むし歯菌の伝播がむし歯の発生に直結するわけではなく、日常の生活習慣(食生活や歯みがきの習慣)やそれによる口の中の状態が、むし歯の発生に大きく関与することになります。

 もちろん、むし歯菌が口に入る機会が少ない方が望ましいですが、ある程度以上の菌量(細菌の数)のむし歯菌が住みつかなければ、むし歯の発症は起こりにくいことが報告されています。 

 今回の場合も、上のお子さんにむし歯が1本もなく、歯みがきもきちんと行っているようですので、口の中のむし歯菌は少ないでしょう。また歯ブラシも使用後に洗ってあるようですので、ゼロではなくてもむし歯菌の量は少ないと考えられますので、「感染」のリスクはごく少ないと思われます。あまりご心配なさらずに、いままで通り歯みがきや食生活に気をつけて、お子さんの口の健康を守ってあげてください。

 歯ブラシの保管方法についてですが、使用後は流水でよく洗って、水気を切り、毛先を上にして風通しのよい場所で立てて乾燥させて保管するのが、菌も残りにくくお勧めです。また、ほかの歯ブラシと接触しないようにしたり、子どもによって歯ブラシの色を変えるなどして間違いにくくするといいでしょう。