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Q. 妊娠37週の初産婦。出産に対して第三者的な夫の態度が気になります。 (2016.4)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠10か月 (36〜39週)

妊娠37週目の初産婦です。主人の妊娠・出産への関わり方にモヤモヤしています。私の体調や健診の様子などを報告すると、心配はしているようですが、問題ないとわかるとすぐに自分の趣味に興味が移ってしまいます。休みになると自分の趣味に時間を割き、一人での外出も多く、最近では夜遅くまで飲みに出かけるように。仕事のストレス発散も必要でしょうから、趣味や外出はしかたないにしても、深夜の帰宅が毎週続くと腹が立ちます。臨月の妊婦がいるのに「何かあった時にそばにいれば良い」という第三者的な感覚でいることに対して不満を伝えましたが、私が怒っているのでとりあえず謝っているだけに見えてしまいます。「次から気をつけて」と笑って言うべきでしょうか。

回答者: 汐見稔幸先生

 ご主人の態度には、たぶん二つの理由があるのでしょうね。一つは、ご主人は、これまでの日本の平均的な男性と同じように、妻の出産には直接責任がないと思い込んでいるのでしょう。そうした習慣の家庭で育ったためか、マッチョを競うような体育会系の雰囲気の中で育ったためか、ともかく理由はわかりませんが、「妻にまかせておけばいい、いざというときだけ手伝えばいい」と思い込んでいる可能性がありますね。ちょっと前までであれば、たとえそのようなご主人のいる家庭でも、隣近所の人が手伝いに来てくれましたので、何とか出産できたものですが、今は事情が異なっています。妻はとても孤独な環境で出産、育児をしなければならず、それが妻、つまり新米母親候補を苦しめています。おそらくご主人は、過去と現在の環境の違いや、夫としての新たな役割を学んだことがないのでしょう。妊娠37週ともなれば、夫は、毎日駅から「買っていった方がいいものない?」程度の電話をするものですが、それが大事ということがわかっていないのかもしれません。

 もう一つの理由として、出産前に、産むということがどういうことか、妻はどういうことを楽しみにしどういうことを不安に感じているか、生まれたあと、どういう夫婦関係を作っていくのか、ご主人にやってほしいことは何か等々を、しっかり話し合っておらず、いっしょに産むという体制づくりが準備されていないということが考えられます。ご主人にあれこれ文句をつけたり要求したりするのではなく、いっしょに産み、いっしょに育てようということを提案し、「名前をどうする?」「出産後しばらくの食事作りはどうする?」「難産だったらどうする?」「今下半身に力を入れられないから、重いものは持ってほしい」などということをはっきり伝え、ご主人にも「父親になるんだ」という夢をもたせるような夫婦の会話を心がけましょう。

 「転んで出産が早まったときは、すぐに来てほしい」とか、あらゆる場合にどう対応するか、夫婦で話し合ってほしいものですが、それが十分にできていない可能性がありますね。ご主人は30年、40年かけて今の価値観を身につけてきたわけですから、ちょこっとした話合いだけで、簡単に変わるということは期待できません。ここはご夫婦で、じっくりと話し合うことが肝要だと思います。「今、不安でしょうがないので、できたら毎日早く帰ってきてほしい」「今日医者に行ったら〇〇と言われた、けれども、大丈夫と思う。でもそばにいてくれないとストレスで出産にネガティブな影響が出る可能性がある」等々、ともかく、出産も育児も二人でやる時代なのだということを、ご主人にも、じわーとわかっていってもらうしかないと思います。
 どうしてもご主人がわかろうとしないときには、「こんなに言ってもわかってくれないのなら、子どもを産んだら別れる」などの“脅し”を言ってもいいかもしれません。必死さを伝えることも大事だからです。
 最初が肝心です。ここであいまいな態度でいると、これから家庭のことは全部あなたがしなくてはいけなくなる可能性があります。

 ご主人も、子どもが嫌いなわけではないと思います。「オレの子なんだ」と思うようになるには、「出産からいっしょにやってきた」という経験が大事です。ここは、ぜひ、くじけないで話し合ってみてください。