母乳とミルク・授乳
Q. 3か月です。ミルクを足したいのに、哺乳瓶を受けつけません。 (2016.5)
- （妊娠週数・月齢）3か月
完母で育てていますが、体重の増え方で悩んでいます。現在、生後３か月です。出生体重は2,412g、１か月健診では3,750gで順調と言われましたが、２か月健診では4,350g、増え方が少ないので２週間後に再測定となりました。２週間後に測ると4,606gと増え方が少なく、ミルクを足すように指導されました。しかし、哺乳瓶を嫌がり、試行錯誤してもダメなので、母乳の授乳回数を増やし、１日12回前後にしています。３か月になって測ったところ4,792gでした。母乳外来では、母乳はたっぷり出ていると言われました。子どもは日々機嫌よいのですが、このまま体重が増えて行くのか不安です。また、哺乳瓶にも慣れさせたいのですがどうしたらよいでしょう？
回答者: 市川香織先生
赤ちゃんの体重の増え方が少ないのではないか、ミルクを足したいが赤ちゃんは哺乳瓶を嫌がるのでどうしたらいいのかと、悩んでいらっしゃるのですね。哺乳瓶をなんとしても拒否する赤ちゃんは少なくありません。お母さんとしては、医療機関からミルクを足すように言われたのに、赤ちゃんがそれを嫌がってしまうとなると、焦りますし、困ってしまいますよね。でもここで、お母さんのとった対応はすばらしいですね。母乳の回数を増やして何とか体重を増やし、がんばって対応されました。
まず体重増加の状況をみてみると、１か月健診までにとても増えました。１日の平均増加量をかなり上回って増えています。最初から母乳だけだったと考えると、母乳もよく出ていることがわかります。その後、少し増え方は緩やかになりますが、３か月までのトータルでみても、この子にとっては少しずつですが増えていっています。身長も伸びる時期ですので、あわせてみていく必要があるでしょう。健診で発達に問題がなければ、心配する必要はないですよ。
ただ、３か月というと、母乳だけであっても、そろそろ１回に飲み取る量も増え、回数も落ち着いてくる頃ではあります。体重の伸びが緩やかになった頃から考えられるのは、飲み方が浅くなってしまい、深くくわえつけていないために、１回に飲み取る量が減ってしまっているのではないかということです。母乳外来で母乳の分泌は良いことが確認されていますが、赤ちゃんの飲み方・くわえ方は見てもらいましたでしょうか。もし浅いくわえ方ですと、時間をかけてもたっぷりと飲むことができません。また、乳汁が出すぎる場合は、最初にあふれてくる乳汁にむせてしまい、うまくくわえつけないケースも時々あります。そんな時には、最初のあふれる乳汁を少し絞って乳頭のまわりをくわえやすくしてから飲んでもらうとうまくいったりします。上手にくわえつけているときの目安としては、乳輪が見えなくなるくらいくわえている、赤ちゃんの唇、とくに下唇が外側にめくれるような形になっていることがポイントです。うまくくわえつけているようなら、１回の授乳時間を延ばして、満足するまで飲み取れるようにしてあげるとよいでしょう。
また、哺乳瓶に慣れさせたいという気持ちもわかります。でも、赤ちゃんにとって、お母さんは大好きなおっぱいをくれる人です。そのお母さんが哺乳瓶をくわえさせようとすることは、赤ちゃんにとっては、「なぜ？ どうしておっぱいじゃないの？」となってしまうでしょう。もし、どうしても哺乳瓶に慣れさせたい場合は、お母さん以外の人に手伝ってもらうとうまくいく場合もあります。また、どうしてもミルクを飲ませたい場合、哺乳瓶ではなくコップなどを利用するという手もあります。もちろん、それ以上に意思のはっきりしている赤ちゃんの場合、かたくなに哺乳瓶もミルクも拒否する場合があります。そうなったら、今の時点ではあきらめて母乳をしっかり飲んでもらいましょう。離乳食が始まると、しっかりと食べてくれる子も多いですよ。
お母さんが赤ちゃんの様子をしっかり見ることができていますし、おかげで赤ちゃんもご機嫌に過ごすことができています。大丈夫、自信を持って育てていきましょう。