ケガと事故防止
Q. 7か月の娘がチャイルドシートから落下。CTをとるべきでしょうか？ (2020.10)
- （妊娠週数・月齢）7か月
先日私の不注意で、生後7か月の娘がチャイルドシートから落下し、コンクリートの地面でおでこをぶつけてしまいました。すぐに大泣きし、しばらく泣いたあとは少し寝て、嘔吐や不機嫌などはなく、いまに至ります。念のため小児科を受診したところ、経過観察となりました。おでこに4～5cmのぶよぶよとしたたんこぶがあります。受診した際、CTは撮っていないのですが、CT検査をした方がよいのでしょうか？また、発達などに悪影響が出たりしないでしょうか？
回答者: 横田俊一郎先生
子どもはよく頭を打つので、頭部外傷の相談はとても多いものです。頭の中に出血などの異常が起こったのではないかと心配して受診しますが、頭の中のことはCT検査をしないとわかりません。頭部のレントゲンでは骨折など骨の異常はわかりますが、頭の中に出血があったり脳に損傷があったりするかどうかはわからないのです。
頭を打つという事故はとても多いのに大部分は何も起こらないので、どのようなときに頭部CTを行うかが問題となります。頭部CTは静かにしていないと（子どもならば眠らせないと）検査できないというハードルがあり、また普通のレントゲン検査に比べると被曝量が多くなるという問題もあります。そこで、どのようなときに検査すべきかについてさまざまな基準が示されていて、その代表的な基準をお示しします。
頭部CTを必ず検査すべき徴候として以下のような場合があります。
・意識が低下している
・意識状態が変わっている（興奮している、すぐにウトウトするなど）
・頭蓋骨が骨折しているのが触ってわかる
これらは相当重症な症状なので、誰でも頭部CTが必要と判断しますが、これらがなくても次のようなことがある場合には、担当医の裁量や親の希望により頭部CTを考慮するとされています。これらの場合には経過観察となることもありますが、症状が悪化するような場合にはもちろん頭部CTを行うことになります。
＜２歳未満＞
・前額部以外の皮下出血
・5秒以上の意識消失
・重篤な受傷機転
・親からみてふだんと様子が違う
＜２歳以上＞
・意識消失
・おう吐
・重篤な受傷機転
・激しい頭痛
「重篤な受傷機転」とは、時速40km以上のスピードでの交通事故、3mより高い所からの転落、速く動く物体との衝突などがあげられています。
ご相談のお子さんは、生後７か月ですが意識消失や気になる症状はなく、たんこぶも前額部のものなので、頭部CTは必要ないと判断してよいと思います。もちろん発達などへの影響もないと考えられます。