Part1 赤ちゃんのお世話をしながら、遊びながら
1.まず、ことばの法則を知ろう!
わかるのが先で、言えるのはあと
親ごさんたちは日ごろ、赤ちゃんのことばがいくつ出るかという「言えることば」にとらわれがちですが、ことばの発達には「わかるのが先で言えるのはあと」という法則があります。言えることばは氷山にたとえると水面上にあらわれた部分で、水面下の「わかることば」に支えられています。ですから、まず体験や経験を通して「わかることば」を増やしていくことが大切です。
伝えたい気持ち、意欲が大切
ことばを発するためには、相手に伝えたい、わかってほしいという意欲が必要です。「ママ」ということばを発しても、ママが振り向いてくれなければ赤ちゃんにとって意味がありません。赤ちゃんが「あー」と声を出し、ママやパパが「なあに?」と答える。この応答性の高いかかわりで、コミュニケーションの意欲が育っていきます。
発達初期は個人差が大きい
統計では、初めて意味のあることばを話すのは早い子で生後9か月、1歳半までにおよそ9割の赤ちゃんがことばを話し始めます。残る1割の赤ちゃんの多くは「晩生(おくて)タイプ」。3歳まではまるでしゃべらなかったのに、3歳過ぎたらペラペラになる子たちも珍しくありません。「発達初期は個人差が大きい」というのはことばの発達の特徴で、一喜一憂することはありません。すぐに発達障害と結びつけて考えるのも早計でしょう。
ただ、1歳半を過ぎてもことばが出ないようであれば、赤ちゃんのへのかかわり方など、環境を見直すことが必要かもしれません。
ことばの発達が遅れる要因
晩生(おくて)タイプではないのに、ことばがしゃべれない場合は次のような問題が考えられます。
(1)子どもの能力に問題はないが、言語環境に問題がある場合
(2)聴力障害や発声・発語器官に問題がある場合
(3)発達障害などの障害をもつ場合
※注(1)の場合は環境が改善されると、よくなります。
テレビに子守をさせないで
テレビやビデオを長時間視聴した赤ちゃんにことばの遅れが多くみられ、特にふだんの生活やテレビを見ているときにも親子の会話が少ない家庭の場合、ことばの発達が遅れる率が高いという調査結果(※注)が出ています。2歳以下の赤ちゃんにはテレビやビデオ、タブレットやスマートフォン等を見せることは勧められません。見せるとしても1日1時間以内にし、親がいっしょに見て、赤ちゃんの興味にそって話しかけてあげることが必要です。
※注 日本小児科学会提言「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」(2004.4.5)