Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび
5か月頃の赤ちゃん
~ほしいものに自分から手を伸ばすようになります~
赤ちゃんがひとりあそびをしている姿をこっそり見てみてください。自分の足をもちあげて、ひざをさわっていたり、もっとおしりがもちあがって、自分の足の先をにぎっていたり、さらには足の指を口に入れたりと、さかんに自分のからだであそんでいませんか。自分のからだに気づいた赤ちゃんは、自分のからだもおもちゃなのです。
こうやってあそんでいるうちに、赤ちゃんの重心が高くなり、何かの拍子に、コロンと横に転がることがあります。そしてそこから、体勢を立て直そうとからだを伸ばすと、あら不思議。寝返りができてしまいます。
寝返りは、さわりたいものがあって、そちらに手を伸ばした拍子にできることもあります。
寝返りは、自分のからだを移動させる手段を手に入れる第一歩。コロンとうつぶせになって、ちょっと近づいたおもちゃにぐっと手を伸ばすことが、やがてはいはいにつながる動きになっていくのです。
赤ちゃんの動きの変化を見ていると、実に合理的で緻密な発達のプログラムがあることに驚かされてしまいます。赤ちゃんは毎日の生活やあそびのなかで、誰に教えられるわけでもなく、少しずつ次のステップへの練習をしているのですね。そして十分に練習を積み、準備が整ったと思ったら、ちゃんと次のステップに進みます。
そんなふうに考えたら、「何か月になったら何ができる」というような発達の目安だけにとらわれず、目の前の赤ちゃんの動きの変化、あそびの変化を楽しめるようになると思います。

ほら、ここだよ
うつぶせの赤ちゃんの頭の先で、おもちゃを動かしながら、「ほら、ここだよ」と声をかけます。赤ちゃんがおもちゃにさわろうと手を伸ばしたら、タイミングをみて、手にさわらせてあげます。
「とろうとしたら届いた!」「さわったら音が出た」というような“成果”が、赤ちゃんのさらなる意欲を育てるだけでなく、お母さんに「これにさわりたい」という気持ちが届いたという満足感も得られ、自分の気持ちを伝えたいという、コミュニケーションの土台がしっかりと育っていきます。