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性格・親のかかわり・育て方

Q. 2歳6か月の娘が怖がりで内気で、慣れない場所や人が苦手です。 (2014.2)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳6か月の娘が怖がりで内気で、心配です。慣れない人や場所が苦手で親から離れず、ずっと無表情でいます。食事も拒否します。一度、託児所で頬にひっかき傷をつくったときも、娘は泣きも騒ぎもしなかったようで先生に「気づかなかった」と言われました。爪の跡のような傷もあり、お友だちにひっかかれたようです。痛かったろうに、声も出さずにがまんしていたのかと思うと胸が痛いです。実は、私も内気な子どもでした。いまは友人もいて結婚もしていますが、幼稚園や小学校のときは友だちができず、そんな自分が恥ずかしくて劣等感にさいなまれ続けました。娘にはそうなってほしくありません。多少内気でもかまいません。ただ、私は思い通りにいかない育児にいらいらし、どうしても娘を不安にさせてしまっています。それとも、私のこの要求は過度なものでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 まずは、お子さんのことから考えていきましょう。お子さんは2歳6か月。慣れない人や場所ではあなたから離れず、食事も拒否されるということ。そして、託児所で傷ができたときにも助けを求めなかったらしいこと。そこから推察できるのは、あなただけを頼りにして、不安を抱えて、ひとりで必死に自分を守っている子どもの姿です。

 どうしてそんなに自分を守らなければならないのでしょう。
生来がとても敏感なお子さんで不安感を持ちやすかったり、慎重な性格でなかなか安心感がもてなかったり、これまでに大きな不安を抱える出来事がありトラウマになっていたり、生活環境に何か不安を感じる状況があったり……。お子さんの理由が何かはわかりませんが、不安を抱える理由が必ずあります。その理由を考えてひとつずつ、ていねいに整理していくことが基本ですが、不安を抱えた子どもの場合にいちばん大切なことは、安心感を育むように関わることです。

 なぜなら、お子さんが安心感をもてたら、内気な子どもであってもリラックスして人やその場に適応して食事もできるようになりますし、豊かな表情になることもできるからです。そして、自分のことをわかってもらえると安心できる人ができたら、その人に助けを求めることができるようになります。

 安心感を持つためには、不安を抱えているお子さんそのままを受けとめることです。不安を抱えて自分でもどうにもすることのできない子に対して、「そんなことじゃだめ」と否定したり「もっとこうなりなさい」と指示したりするのではなく、そっくりそのまま「私の大事な○○ちゃん」と言って、朝起きたときと就寝前には必ず優しく抱っこしてください。お互いに何も言わなくてもただ抱っこし合っていることに心地よさを感じられたら、お子さんは少しずつ自分を開放する勇気をもてるでしょう。

 そう考えますと、あなたが「思い通りにいかない育児にいらいらして、娘を不安にさせてしまっている」としたら、あなたが望んでいることと反対の方向に進んでいることになります。いまのお子さんが抱えている課題のいちばんの原因は「不安」だからです。ですから、もし「不安」にさせているとしたら、あなたの方法は少なくともいまのお子さんには合っていないのだと思います。

 あなたが子どもの頃、「恥ずかしくて劣等感にさいなまれ続け」たこと、そして、「私のようになってほしくない」という、娘さんを心配するあなたの思いは少しも「過度」ではありません。
ただ、気になるのは「要求」という言葉です。あなたの本来の思いは、母親としてお子さんを心配される優しい思いです。でも「要求」となると、「(私のように)なってほしくない」ことを強く求める、すなわち「なってはいけない」という強制に近くなるように思います。そこには、娘さんへの思いというよりも、子ども時代のあなたご自身への悲痛な思いを感じます。

 人間は不思議なもので、子どもが自分と同じだと思ったとき、自分と重ね合わせて子どもを変えようとします。実は、子ども時代の自分を受けとめることができていないために、子どもを自分の望むように変えることで自分の問題を解決しようとするからなのです。誰にでも起きてくる心理です。でも、自分のことでさえ簡単ではなかったのですから、余計にいらいらしてしまうのです。

 「痛かったろうに、声も出さずにがまんしていたのかと思うと胸が痛い」というあなたの思いから、あなたがお子さんの思いをわがことのように感じていることが伺えます。気持ちをわかってくれる母親がいるのは、お子さんにとって大きな安心につながること。あなたはステキな母親です。ぜひ、あなたの思いを言葉でお子さんに伝えてあげてください。

 いまのあなたはご自分をどう思われますか。友人もいて結婚もして母親になっているのです。幼稚園・小学校時代はつらかったと思いますが、でもあなたは勇気を出して、ゆっくりゆっくり変わられたのだと思います。お子さんもきっと同じ。安心できて、自分でこういう人になりたいという思いがでてきたら、きっと変わっていきます。お子さんはまだ2歳。あなたの年齢までにゆっくり変わっていくことを楽しみに見守られていくのはいかがでしょうか。