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性格・親のかかわり・育て方

Q. 2歳の娘が私よりも夫を慕うことが寂しくて、娘とうまくかかわれません。 (2014.4)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳1か月の娘との接し方がわかりません。1年前から保育園に通っています。平日の朝や休みの日に父親と遊ぶのですがとても楽しそうで、母親の私は目に入らないようです。食事や洗濯、寝かしつけなどすべて私ががんばっているのに報われない気持ちになり、娘がグズって泣くと「お父さんにしてもらおうかっ」とか、「じゃあ保育園に行く?」とか、娘がイヤイヤをするのがわかっていながら、わざとひどいことを言ってしまいます。そんなとき娘は、寂しそうな目で私を見ます。ほんとうは「お母さん!!」と抱きついてほしいのです。しがみつかれ、お母さんがいちばんなんだと実感したいのです。でも、娘は私から距離をとり、泣いています。悪循環になるばかりだと思うので、私に育てられて心に傷をつけるより、優しい父親にメインで育児をしてもらおうかとも思います。どうすればいいでしょうか。

回答者: 高橋惠子先生

 母親が心を込めて世話をしていても、2割前後の赤ちゃんは母親以外の人(多くは、父親や祖母)を初めの愛着の対象として選び、母親よりもその人に抱っこされたり、遊んでもらったりすることを好むことが報告されています。いわゆる、“お父さん子”や“おばあちゃん子”です。父親や祖母が、母親に勝るほど世話をしているわけではなくても、このようなことが起こるのです。相談者のように「自分がこんなに手をかけているのになぜ?」と考えるのも無理からぬことです。

 なぜ、乳幼児はこのような理不尽な人の選択をするのでしょう。
母子関係を長く研究してきた先輩の心理学者は、さまざまな事例を見てきて「馬が合わない母子がある」と言っています。子どもにもお母さんにも何ら問題がないのに、2人の関係がうまくかみ合わないことがあるというのです。たとえば、子どもが父親似で静かでのんびり型の気質をもって生まれているのに、母親が活発でせっかち型の気質だとすると、子どもには母親の動作や大声がやかましく感じられ、父親との関係のほうが心地よいことになる、というような場合が「馬が合わない」のです。母親にも子どもにもとくに非があるわけでなく、ただ、子どもとの“相性”が良くないということです。

 子どもと「馬が合わない」と思い当たるお母さんは、できるだけ子どもの意志を尊重し、子どもの活動のペースに合わせる気持ちで付き合うことで、母子関係の改善がかなり図れると思われます。また、うまくいっている父子関係を観察するのも参考になるでしょう。

 ただし、父親と張り合って、子どもを「取り戻そう」などとするのはやめましょう。子どもが特別の人(愛着の対象)をもてていることは、人間関係の発達が順調にいっていることだと喜んでください。その特別の人が父親でも何ら問題はありません。愛着関係が満たされていると子どもは人間関係を広げていきます。そして、母親を必要とするようにもなるはずです。

 何につけても「ママでなければいやだ」という“お母さん子”の母親からすれば、“お父さん子”の母親をうらやましいと思うことでしょう。父親が面倒を見てくれている時間をありがたいと考えて、その空いた時間を自分のために使ってはいかがでしょう。母子関係はまだ始まったばかりで、これから一生続きます。子どもが児童期になっても、青年期になっても、成人したのちも、尊敬され素敵だと慕われる母親であるためには自分みがきが欠かせないと思います。