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友だち・遊び・テレビ

Q. 4歳の男の子。自分でいやと言えず、友だちに「A君をたたいて」などと頼みます。 (2014.4)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳11か月の男の子です。幼稚園での出来事に息子の今後が心配になっています。A君がB君をたたいたので先生が事情を聞き、息子に言われたからだとわかりました。先生と私、たたかれたB君とで理由を聞きましたが、「間違えちゃった」「わからない」という答えでした。私は息子の眼を見て両手を握り、「人をたたいては絶対にいけない。お友だちにたたいてきてなんて言うのはもっといけない。仮面ライダーに出てくる悪者がすることだよ。お友だちがいなくなるよ」と強い口調で叱りました。実は4か月前にも、ブロックで揉めた友だちに自分で「貸して」と言わず、ほかの友だちに「取ってきて」と言ったことで私と先生にきつく叱られ、2度とやらないと約束しました。息子はいやと言うのが苦手で、しかめ面をしてグッとがまんするタイプです。その場の雰囲気が良くないとおちゃらけたりもします。こういう息子にどう対応すればいいでしょうか。

回答者: 汐見稔幸先生

 4歳から5歳にかけての時期は自我が大きく発達するのですが、まだ自分だけでいろいろな処理を行うことができない子も多く、直接交渉しないで、たとえば先生に告げ口する子が多くいます。「告げ口の時期」といってもいいくらいです。自分で言えばいいのにそれができず、先生に誰かを叱ってもらおうとするのですね。

 今回のケースもそれと似ている感じがします。自分ですればいいのだけれど、それだけの行動力や度量がまだないために、人にやってもらおうとしているのですね。ある意味、背伸びをする前段階といえます。

 こういうときは、半分は微笑ましく「自分でまだできないんだね」と見つめる親の余裕が大事ですが、半分は、そういうことをしてはダメだということをきちんと伝えることも必要です。ただ、ご相談の場合のようにあまり深刻に考えすぎると、「もっと厳しく叱らねばならないのか」ということになりがちです。それでは、子どもはただ禁止されるだけなので、同じシチュエーションになったときにどうしていいかわからず、自分に自信をなくして、結局は同じことを繰り返してしまいます。

 子どもを責めるのではなく、どうしてそうしたかったのか、きちんと聞いてやることが大事です。親が怒らずに落ちついて聞いてやれば、お子さんは「頭にきたけど自分でB君をたたくのがいやだったから」とでも言うでしょう。そうしたら、「じゃあ、たたかないで文句を言えばいいじゃないの?」などと聞いてやり、「次はそうできる?」と確認を取っておしまい……としてあげたいですね。

 実際に、すぐにできるようになるかどうかはわかりません。でも、このように落ちついて自分の行動を振り返ることなくして、発達することはないのです。「叱られると恐いからやらない」というのは、心の深いところで納得できていない可能性があり、それはその子のほんとうのモラルとはなりにくいでしょう。

 しばらくこのような対応をしながら、じっくりと子どもの育ちを支えてあげてほしいと思います。