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おしっこ・うんち・おむつ

Q. 生後3か月。うんちの色が少し白っぽい状態が続いているのが気がかりです。 (2014.4)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月の娘です。新生児から乳幼児のうんちに移行してからずっと、うんちの色が薄く少し白っぽい(母子健康手帳に入っているカードでは4番位の薄さ)のですが、正常範囲と考えて問題ないでしょうか? あくまで1〜3番の色が異常で、4番の薄さが続いていても正常なのでしょうか? 今後、うんちの色についてどんな注意が必要でしょうか。病院を受診しなければならないのは、どういうときでしょうか。

回答者: 多田裕先生

 昨年度からわが国では、母子健康手帳に「便色カード」をつけて赤ちゃんの便の色に注意を促すことにしています。生後4か月頃までの赤ちゃんの便が薄いクリーム色だったり灰白色のとき、胆道閉鎖症など赤ちゃんの健康に悪影響を与える重大な病気が潜んでいることがあるからです。

 まず、なぜ便が黄色や茶色なのかという点について説明しましょう。私たちの体は、常に古い赤血球を少しずつ壊して新しい赤血球に作り替えていますが、古い赤血球が壊れるとビリルビンという黄色い色素が生成されます。この色素は血液中を流れていき、肝臓に取り込まれて代謝されます。代謝されたビリルビンは胆汁となり、胆道を通って肝臓から十二指腸に流れていきますが、その途中にある胆のうに蓄えられ、食物を消化する際、とくに脂肪の消化に重要な役割を果たします。その後は腸に送られて排出されるため、便がビリルビンの色である黄色に染まるのです。

 ときには、ビリルビンが酸化して緑色の便になることがあります。その原因のひとつに、消化不良によって腸内細菌の種類が変化した場合があり、医療や治療薬が未整備だった時代には赤ちゃんの健康被害につながることが心配されました。しかし、医療の進んだ現代ではこのことで深刻な問題が起きることは少なく、あまり心配いらないものと考えられるようになりました。

 さて、ご相談の赤ちゃんについて考えてみましょう。生後3か月で便の色がやや薄く、便色カードで4番ほどの状態が続いているとのこと。前述したようなことから、便の色が白っぽくなるのは胆汁が十二指腸にあまり流れていないことを示しており、胆道が塞がっていたり、胆道や胆のうに炎症があったりする場合があります。

 この症状から心配される病気はいくつかありますが、生後間もない赤ちゃんでとくに注意が必要なのは胆道閉鎖症です。胆道閉鎖症は、なるべく早く発見して適切な治療を行わないと肝臓の機能に不可逆的な障害が生じ、ときには命にも関わる重大な病気です。出生直前あるいは直後に発症すると考えられていますが、原因はまだよくわかっていません。母親の胎内にいるときに一度作られた胆道が、原因不明の炎症によって狭くなったり塞がったりするためと考えられ、出生直後から便の色が白っぽい、あるいは生後すぐは黄色だった便がクリーム色や灰白色になってきたときには、一日も早く小児科医の診察を受けることが肝要です。便の色以外に、黄疸や黄色尿があり、体重があまり増えないなどの症状を伴うこともあります。

 ご質問には黄疸や体重増加について記載がないので、とくに心配な症状はないものと推察します。便の色は少し薄い(4番くらい)が、黄疸が無く、体重も順調に増えて元気に手足を動かし、機嫌よく過ごせているなら心配ないと考えていいでしょう。

 しかし、生後3か月には赤ちゃんの生理的黄疸は消えているはずなので、肌の色や白目が黄色いなど黄疸があると考えられるときは、便の色にかかわらず速やかに小児科医の診察を受けてください。胆道閉鎖症でなくても、肝臓や胆道の病気があるかもしれないからです。

 最後に一般論として、赤ちゃんのうんちに関する気がかりについて付け加えますと、血液の混じった赤い便や、黒い便(出生直後の胎便を除く)が出てそれを伸ばすと赤く見えるというときは注意が必要です。胃や腸で出血していると考えられるからです。少量の鮮血が便のまわりに付くだけのときは肛門近くの出血で、心配のない場合が多いです。また、粘液がたくさん混じった軟便で臭いが悪いということが続くときは、腸がただれていることがあります。

 いずれにしても、赤ちゃんのうんちで気がかりなことがあれば、その便をラップにとって持参して小児科医の診察を受けていただくことが大事です。