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性格・親のかかわり・育て方

Q. 2歳半と生後4か月の、2人の子の母。上の子を甘えさせてやれません。 (2014.7)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳6か月と生後4か月の娘を育てていますが、上の子を甘えさせることができず、悩んでいます。私も、子ども時代を振り返ると3人きょうだいの真ん中だったことや、母親が厳しい姑と同居していたり家業の手伝いがあったりと大変だったこともあり、甘えさせてもらった記憶があまりありません。上の娘が駄々をこねたりわがままを言ったりすると、ゆっくりと娘の気が済むまで抱きしめてあげたいという思いはあるものの、家事や家業の手伝い、自分自身の勉強などで忙しく、甘えさせてやる心の余裕がありません。忙しいときにはイライラしてしまったり、冷たく接してしまうこともあります。こんな状態が続くと、子どもに悪い影響が出てしまうのではないかと思います。夫はやさしく穏やかな人で子育てに協力的です。長女の愛着の対象は父親である夫にあると思います。甘えさせてやれない私は、この先どのように子どもに向き合っていけばよいでしょうか?

回答者: 帆足暁子先生

 お子さんを甘えさせることができずにどう向き合っていったらよいのか悩んでいるのですね。そして、あなたご自身も、子どもの頃あまり甘えさせてもらえなかった……。

 お子さんにどう向き合っていくかは、「良い」「悪い」ではなく、あなたご自身の思いを見つけることが大切です。「甘えさせてやれない私」は、どうしてなのでしょう。そこには必ずそうする理由があります。

 なぜなら、「どう子どもに向き合っていったらよいか」ということは、あなたは既によくわかっていらっしゃるからです。つまり「甘えさせてあげて、わがままを言ったりしても気の済むまで抱きしめてあげる」ということだからです。でも、それができない。そこにある、あなたの思いをていねいに整理していくことが必要です。

 あなたが、「私は甘えさせてもらえなかったのだから、私も甘えさせることはできない」という思いでいるならば、それでよいのです。あるいは、「私は甘えさせてもらえなかったけれど、娘は甘えさせてあげたい」という思いでも、もちろんよいのです。大切なことは、あなたが、あなたご自身の思いをちゃんとわかって、そういう自分を受け入れることです。

 「甘えさせてもらった記憶があまりありません」ということ……寂しかったり、つらかったりした記憶はあるのでしょうか。感受性の豊かな子どもは、甘えたいという思いがあっても、母親の状況を察して甘えないよう自分の思いを抑えてしまうことがあります。

 もしかすると、あなたも「3人きょうだいの真ん中」だったことや「厳しい姑と同居していたり、家業の手伝いがあったりして大変だった」母親の状況を察して、これ以上負担をかけないように甘えないようにしてきたのかもしれません。本来、そのときあなたが感じていたであろう思い——「寂しい」「甘えたい」「悲しい」などは、子ども時代は自分の心の中に閉じ込めることができますが、「母親」という逆の立場に立ったときに、これまで抱えてきた課題が表面化することが少なくありません。そして、無意識に子ども時代の自分の役割を子どもに求めてしまうことで、ご自分の子ども時代からの課題に向き合うことになります。

 「あまり甘えさせてもらえなかった」あなたは、子ども時代、お母さまにどうしてもらいたかったのでしょうか。

 あなたのお子さんは「駄々をこねたりわがままを言ったり」するのですね。2歳6か月ということを考えれば、とても順調な発達です。あなたが「甘えさせてやる心の余裕がない」と思っても、「忙しいときにはイライラしてしまったり、冷たく接してしまう」ことがあっても、あなたのお子さんはあなたを困らせることができます。つまり、お子さんはあなたの子ども時代とは違って、「もっと私を愛してほしい」「私を見て!」という願いを、母親であるあなたに伝え続けているのです。そこには、「お母さんは絶対に自分を見捨てない」という確固たる信頼があるからです。いまは、そのままの親子関係だけで十分のように思えます。

 夫は協力的なのに自分だけがよくないように感じたりはしていませんか。「甘えさせてやれない私」という表現から、あなたの悲しさや自分を必死で守っている思いが伝わってきます。あなたの味方をつくりましょう。いまのあなたでいい、そのままのあなたでいいのよ、と言ってくれる人の存在。子育て支援を専門にしている人なら、きっと、あなたの味方になってくれると思います。

 まずは、あなたが信頼できる人に、あなたの思いをていねいに話してみませんか。