赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー性格・親のかかわり・育て方

性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳7か月の男の子。おとなしく、覇気がないように感じます。 (2014.9)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7か月

1歳7か月の息子のおとなしさが心配です。ツボに入るとよく笑いますが、自分からうれしいと表現することはあまりありません。言葉やまねはかなりできます。最近、起きてからしばらく布団や畳でボーっと寝転がる時間が長く、体調が悪いのか目覚めてないのかゴロゴロしたいのか……わかりません。「〇〇しようよ」と声をかけると、嫌がらずに動き出します。また、車が大好きで何をしても最終的には車、車で、最近は床にベタっと寝転んで黙々とおもちゃの車を見つめたり並べたり重ねたりしていることもあります。この月齢だと「元気いっぱいで困る」とよく聞きますが、実家でも車ばかりで祖父母にあまりなつきません。それなのに、バイバイすると「ジイジ〜」と言い出したり。周囲の人から、あの頃が良かったと思うくらい、やんちゃな時期が来るよと言われますが、ほんとうに来るのか不安です。まわりから「おとなしいね」と言われるたびに落ち込む自分がいやで、これも息子の個性だと受け止めたいのですが、どうしても覇気がないように見えてしまいます。

回答者: 汐見稔幸先生

 ほんとうに子どもって十人十色ですね。育児書に書いてある「子ども」は平均像ですから、そこからはみ出る子どもはたくさんいます。平均点が50点というのは、0点から100点までがいて平均が50点になるのですから、そのどこにいるかで子どもはまったく違ってきます。ましてや子どもの性格や資質は上も下もない、「個性」としか言いようのない横の広がりですから、平均値で議論されると不安になりますよね。

 欧米などでは、専門家も乳幼児には生まれつき(つまり、親の育て方によってではなく)子どもにタイプの違いがあることを認めています。活発すぎて追いかけるのに必死という女の子もいれば、ご相談のお子さんのように、自分からどんどん挑んでいくことがあまりなくて、「大丈夫かしら」と心配させる男の子もいます。それでも小学校に入る時分には、「小さいときは○○だったのよね」と笑い話になるくらいに、それなりの社会性や行動力が育ってくるので不思議です。

 子どものタイプの分け方は人によってさまざまなのですが、偶然かもしれませんが4タイプに分類することが多いようです。医学的には、「扱いやすい子(easy child)」や「扱いの難しい子(difficult child)」が生まれつき一定の割合でいることを認めていて、それ以外に「活動するようになるまで時間のかかる子」というタイプに分類されています。脳の活動パターンにもこれに近い分類があるのですが、要するに「おっとり型」というか、自分がやりたいことが見つかり、頭が活動モードになり、活発に動き出すのに時間がとてもかかるタイプというか、場合によってはあまり活発に動くタイプではなく、頭の中でイメージを操作してそれで済ませてしまうタイプですね。 

 ご相談のお子さんは、「ツボに入るとよく笑います」とあるように、感情表現が苦手というわけではなさそうですし、「自分からうれしいと表現することはあまりありません」とはいっても、「言葉やまねはかなりできます」とあるように模倣欲求もあり、言語能力も心配なさそうです。要するに、人格の基本部分はそれなりに育っているのですが、周囲と関わるときのエネルギーの発揮の仕方に特有の個性があるということだと思います。
 お母さんとしてはご心配だと思いますが、東大生に小さい頃はどういう子だったかとゼミで尋ねたら、「おとなしくて4歳まで言葉も話さず、障害があるのではと心配された子だった」という学生もいたくらい、幼い頃の育ちは多種多様です。将来、「あの頃が良かったと思うくらい、やんちゃな時期が来る」かどうかはわかりませんが、基本が育っていれば、あとは個性だと割り切った方が子育ての不安は小さくなります。小さい頃って、ほんと、いろいろなのねえ……と思って育ててください。