赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー性格・親のかかわり・育て方

性格・親のかかわり・育て方

Q. 4歳の女の子。内向的で怖がりで苦手なことにチャレンジしません。 (2014.12)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳、年中組の娘です。内向的なうえにとても怖がりで、今後小学校にあがったときに馴染めるだろうかと不安に思っています。失敗するのが嫌なようで、縄跳びや平均台などは「できない」と言い、やろうとしません。サッカー教室に通っていますが、ウォーミングアップの鬼ごっこも怖いと言って私から離れません。私は「できなくてもいいから、やってみよう」と言ってみるのですが頑としてやろうとせず、最終的に私のほうがイライラして「じゃあいいよ」と怒ってしまうこともあります。最近では、私の接し方がプレッシャーを与えていたのではないかと思い、反省しています。もう少し積極的になってほしいと思うのですが、どのように声かけをしていけばいいでしょうか?

回答者: 汐見稔幸先生

 最近は、生活のスタイルが変わって、からだを使うことがうんと減ってしまいました。そのため、運動嫌いの子が増えてきています。からだを普通に動かす程度ならいいのでしょうが、難しいスポーツや体操をすることは苦手という子が増えてきているといわれているのです。そうしたことから幼稚園や保育所では運動指導を強化していますが、皮肉なことに「運動指導を形式的にしているところほど子どもの運動能力が低い」という調査結果が出ています。普段からあまりからだを動かして遊んでいない子にとって、サッカーや水泳、跳び箱などはハードルが高くて、本音では「そんなのしたくない」と思っているのにさせられるので、次第に運動嫌いになってしまうということでしょう。例えてみれば、数学が苦手のお母さんに「難しい数学をしっかりやりなさい」と強要しているようなものですね。

 そう考えると、ご相談のお子さんは、縄跳びも平均台ももともと得意ではないし、やってもできそうにないことがわかっているのでしたくないと思っているのではないかということが想像できます。そういうお子さんに、「できなくてもいいから」と言っても、そもそもそういうことをしたくないのに「どうして無理にさせるの?」ということになってしまいます。いたちごっこになりますから、強制はやめたほうがいいでしょう。

 私たちはよく、苦手なことを子どもにさせようとしがちですが、冷静に考えるとこれは子どもを伸ばす上手な方法とはいえません。人間はやってみたいと思っていることには積極的に挑む動物ですが、やりたくないことを無理にさせられると次第にそれが嫌いになっていきます。それだけでなく、できない自分に嫌気がさしてきて、次第に自信のない子になっていきます。それよりも、その子なりに関心をもっていることや興味をもっていることをし始めたときにそれをさりげなく応援するとか、慎重派なのにちょっとした勇気を出してやったようなときにそれを見逃さずに評価するとか、その子自身が前を向こうとしているときにその姿勢を評価することが大事です。そうすれば、子どもは自分に自信をもつようになり、少しずつその子なりの積極性を身につけていきます。

 積極的になってほしいというお母さんの願いはよくわかります。しかし、もともと「何事にも失敗を怖れず挑む」というタイプのお子さんではないですよね。慎重派で、心のエネルギーが外に向かうタイプではなく、自分の内部に向かうタイプの子です。観察学習派で何かをじっと見ていて、心のなかでそれを考えたり楽しんだりするタイプなのだと思ったほうがいいと思います。このお子さんはそういうタイプの子なのです。

 積極派の子どもだけが「良い子」というわけではありません。慎重派のお子さんには慎重派の良いところがあり、それがご相談のようなタイプの子の持ち味なのです。自分からどんどん挑んでいくタイプではなくても、「へぇ、こういうことに興味があるのか」と、お母さんが思うようなことを必ず見つけます。そういうときにそれを応援すれば、お子さんなりに自信を得て、この子なりの積極性も身につけるはずです。

 この際、サッカー教室などはやめて、お子さんが興味のあるものを見つけるまで、あまりあれこれ強制しないほうがいいと思います。積極性はスポーツ系ではなく、書道や絵などの芸術系で見つけるかもしれません。何か見つければ必ず前を向くようになります。そのことを信じて、無理強いをしばらくやめてみることをお勧めします。