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性格・親のかかわり・育て方

Q. 4歳の次男が頑固で扱いにくく、どう対応すべきか頭を悩ませています。 (2015.3)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳の次男がとにかく頑固です。6歳の兄とは毎日けんかになり、些細なことで何度も兄に謝らせます。ですが、自分が悪いことをしたときは頑として謝りません。すぐに逃げたり隠れたりします。話を聞いてあげようとしても頑として話さず、暴れて壁を蹴飛ばしたりして赤ちゃん返りのようになってしまいます。また、歯みがきの順番、歩く順番、なんでも自分が先でないと気が済まず、少しでも兄が先に行くとその場で怒鳴り、暴れて手がつけられなくなります。先日は、ふざけて通園鞄に乗っかったので「いけませんよ」とひと言注意しただけで逃げてしまいました。そんな状態なので叱ることも難しく、頭を悩ませています。下に小さい妹がいるため寂しさもあるのかなと思い、なるべく抱きしめるようにはしているのですが、どう対応すればいいのかわからず悩んでいます。次男は、兄とはけんかばかりしているのですが妹に対してはとても優しいお兄ちゃんです。

回答者: 汐見稔幸先生

 よく言う、「きかん坊」タイプの典型みたいなお子さんですね。子どもには親の育て方とは関係なく、それぞれの子に特有の生まれつきの脳の活動のパターン、タイプが備わっています。

 たとえば、興奮するときはすごく早いのにそれを収めて落ちつかせるのは苦手というタイプの脳の子もいれば、なかなか興奮の状態に入らずに本気になってやり出すのに時間がかかり、収めるときにもさっと収めてしまうタイプの脳の子もいれば、興奮が苦手で収めるのも苦手というタイプの子、興奮も早いが収めるのも早いタイプなどもいて、それらが、それぞれの子の性格形成の基礎となっていきます。

 ここで「興奮する」というのは、激情するというような意味ではなく、脳の活動がアラート状態になるというか、活発に活動する状態になるというような意味です。それ以外にも、交感神経と副交感神経という神経活動の交代やバランスがまだあまりうまくいかないため、交感神経が働きすぎると興奮が収めにくくなりますし、逆だと興奮が苦手になります。

 脳の深部に脳幹という生物的な機能を担っている部位があるのですが、ここは「情動」という刺激に対する最初の身体反応や、それに基づく感情を司っていて、そこと前頭葉などの理性的な反応をするところが神経回路で結びついていくことがあまりスムーズに進んでいないと、情動過剰の反応が起こる可能性があります。興奮しやすいのに収められないというようなことです。

 ご相談のお子さんが「きかん坊」タイプというのは、興奮しやすいがそれをコントロールすることが得意でないタイプということですが、そのうえ負けず嫌いで、いつも勝つことで自尊感を満たしたいと思っているタイプでもあって、お母さんとしてはとても扱いにくいわけですね。加えて、おそらく3人きょうだいの真ん中という立場であることも、欲求不満を溜める理由になっているかもしれません。3人きょうだいの真ん中の子は、上がいるのでいつも2番目と思われていて腹が立つし、下の子がうまれると「お兄ちゃんだから」とがまんさせられ、結局腹が立ったり欲求不満になったりということが日常化しがちな位置にいるのです。そういうことも重なっているのかもしれませんね。

 こういうケースは、特効薬的な対応があるわけではありません。こういうタイプの子なのだと思って気長に対応していくしかありません。こういう子は脳の活動が少しずつ大人になっていけば自然と克服されていくからです。「小さい頃はあんた、きかん坊だったのよ」というときが必ず来るということです。

 ただし、そのために、子どもが短気に見える対応をしているときに、頭ごなしに叱るというようなことをすると、克服していくのにかえって時間がかかります。お子さんは自分でもどうしてこうなるのかわからず、困っているのです。「困った子」ではなく、「困っている子」なのです。ですから、興奮しているときはあまりあれこれ言わず距離をとって見守り、少し落ちついてきたら、「もう大丈夫?」とか、「じゃあ、こっちにしよう」と気分を切り替えるような提案をしてあげるといいように思います。要するに、お子さんが自分で自分をコントロールできるようになるのを見守り、手伝ってあげるということです。決して、きつく否定するような言い方、接し方をしないことです。それが自己コントロール力を伸ばすのを助けます。それとお兄ちゃんには、「弟はああいうタイプだから、がまんしてね」と、ていねいにフォローしてあげてください。苦労すると思いますが、いい思い出になりますから。