泣き・夜泣き・眠り
Q. 生後7か月。昼寝の回数や1日の睡眠時間が多すぎるようで気がかりです。 (2015.5)
- (妊娠週数・月齢)7か月
生後7か月の男の子です。日中の睡眠時間について不安を感じ、質問します。朝7時前に起床し、夜は21時30分に就寝。夜間1度だけ泣いて起きるので授乳すると、その後40分程してひとりで寝ます。起床後は1時間30分程で眠くなり、朝寝を30分します。その後は、1時間半〜2時間くらいでまた眠くなり、1回30分〜2時間寝るのを繰り返し、就寝するまでにトータルで4時間半ほど寝ています。夜はきちんと寝ているのですが、このままでいいのかと気がかりです。夜の睡眠と日中の睡眠を合わせると1日の睡眠時間は13時間ほどになりますが、この月齢で問題ないでしょうか。あるいは、発育の問題など注意したほうがよいことなどがあるのでしょうか。
回答者: 多田裕先生
赤ちゃんの眠りは親ごさんの気がかりのひとつです。育児相談などでも「眠らない」「眠りすぎる」などの相談をよく受けますが、そもそも乳幼児の眠りは個人差が大きいもので、ほとんどの場合は心配ないと考えていいでしょう。
このことを前提に、私たちの睡眠について簡単に説明しましょう。大人は朝起きて夜眠るという睡眠と覚醒のリズムができていますが、何らかの事情でそれが狂うと「時差ボケ」の状態になり、眠りの質が低下したり体調に悪影響が出たりします。というのも、本来、人間の生体リズムは25時間なのですが、朝明るくなったら起床し、夜暗くなったら眠るという暮らしのなかで、体が24時間の明暗のリズムに同調していくからだといわれています。このことによって1日の生活リズムができていくのですね。
一方、赤ちゃんの睡眠の発達は「昼間、目を覚ますことを体得していくこと」だともいわれ、生後間もない時期の赤ちゃんはこのリズムができていません。新生児期の赤ちゃんは25時間の周期で寝たり起きたりを繰り返し、夜寝る時間も大人の生活時間とは徐々にずれていきますが、小児科医の瀬川昌也先生が行った研究で、生後1〜2か月頃になると夜まとめて寝るようになって昼間起きている時間が長くなり、次第に昼夜のリズムと睡眠のリズムが合ってくることがわかっています。また、そのリズムが確立するには太陽の光を浴びたり、おっぱいを飲んだり、おしめを替えてもらったり、生活環境や養育による刺激が重要です。
そうした規則正しい生活のなかで多くの赤ちゃんは、7か月前後になると昼寝が午前と午後1回ずつになり、1歳半頃までには睡眠のリズムが確立して昼寝が午後1回になっていきます。
さて、ご相談の赤ちゃんについて見てみましょう。ご質問の内容から生後7か月の赤ちゃんとして夜はきちんと寝ているし睡眠に問題があるとは思えません。1日の睡眠時間が13時間程度というのもちょうどよいといえるでしょう。夜中の授乳回数や起床時間も適切だと思います。夜寝る時間はやや遅めですが、問題があるというほどではありません。全体によいリズムで過ごせていると考えられます。
これから1歳半頃までは生活リズムや睡眠のリズムが確立されていく時期で、よい生活リズムで暮らすことが心身の発育や脳の発達によい影響を与えます。まずは、ご両親がなるべく規則正しい生活をし、その生活に赤ちゃんの起床時間や睡眠、授乳や離乳食の時間などを自然に合わせていきましょう。大人が普通の時間に起床するならば、家事などに忙しいけれど赤ちゃんがまだ寝ているからそっと音をたてないようにしなければと考える必要はありません。無理に起こすこともないのですが、大人の自然な暮らしぶりに赤ちゃんも刺激され、次第に生活リズムができていくことでしょう。
そして、昼間目覚めている時間には散歩に出かけたり、あやしたり相手をしてあげたり、離乳食を与えたり、おおよそ一定のリズムで生活できるようにしてあげましょう。ときには夜中に起きて泣いたり、おっぱいを欲しがることもあるでしょうが、そっと背中をさすってあげたりトントンすれば眠ってしまうなら、必ずしもおっぱいを飲ませる必要はありません。
このようにしながら赤ちゃんの生活リズムが整っていくと育児がラクになり、赤ちゃんの発育・発達にもよい影響を与えるものと思います。