妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)
Q. 夫が風しんワクチン接種後、すぐに妊娠しました。胎児感染の可能性がありますか。 (2015.6)
- (妊娠週数・月齢)妊娠2か月 (4〜7週)
妊娠5週目に入る37歳の妊婦です。風しんの予防接種をして2日後の夫と避妊なしの夫婦生活をもってしまい、数日後に妊娠が発覚しました。妊娠初期の風しん感染は胎児異常の確率が高いと聞き、夫から感染した可能性はないだろうかと不安に感じています。私は年齢的に中学生のときに予防接種を受けた年代ですが、その記録も記憶もなく、風しんにかかったことがあるかどうかもわかりません。現在、私に抗体があるかも不明です。いまはまだ妊娠の陽性反応を確認したところで、胎嚢の確認はできていません。近く受診予定です。妊娠中に風しんの予防接種を受けたとしてもそれほど心配はいらないという話も聞きますが、不安が募ります。予防接種を受けた夫(42歳)から風しんに感染する可能性について、ぜひ教えていただきたいと思います。
回答者: 安達知子先生
まずは結論からですが、心配はいりません。夫から感染する可能性はほとんどゼロでしょう。
風しんウイルス感染は飛沫感染で感染してから2〜3週間の潜伏期間があり、その後、発熱、発疹、リンパ節腫脹などの症状が出て発症します。不顕性感染も15〜30%あります。発症する1週間くらい前、すなわち、感染して7〜10日頃よりウイルスは体内で非常に増加して気道の分泌物中に存在し、この時期くらいから他人へ飛沫感染する可能性が出ます。
なお、妊娠中に母体が感染しても、すべて胎児へ垂直感染するとは限らず、さらに、胎児が感染してもいわゆる先天性風しん症候群と呼ばれる胎児の奇形が出るとはかぎりません。もっとも奇形が出やすいのは、妊娠初期(妊娠4〜8週くらい)の感染ですが、その後は頻度も減り、奇形の種類も異なり、軽くなります。
今回、ご主人は風しんワクチンを接種したのであり、通常の風しんウイルスに感染したのではありません。風しんワクチンは弱毒生ワクチンであるため、ワクチンウイルスによって自分自身に風しんを発症させることはまれで、かつ感染症状もごく軽いことが知られています。体内でのウイルス増殖は限られたもので、他人に感染を起こさせることはほとんど考えられません。ましてワクチン接種2日目では、ワクチンウイルスはまだ体内でほとんど増殖していません。
妊娠初期の女性への風しんワクチン接種は控えるようにとされており、接種後2か月間は避妊するように指導されています。万一、妊娠初期に風しんワクチンを接種したとしても、そのため胎児に障害が出たという報告はこれまで世界的にもありませんので、妊娠を中断する理由にはならないとされています。
上記とは別に、妊娠時の風しん抗体価の測定は大切です。産婦人科を受診し、風しん抗体価を測定してもらってください。