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性格・親のかかわり・育て方

Q. 3歳の子の母。すぐにイライラして娘をひどく怒ってしまいます。 (2015.8)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3歳になる女の子の母です。私は物事が自分の思い通りにならないとすぐにイライラしてしまう性格で、娘が0歳のときからたびたび娘に対してヒステリックに怒鳴ったりし、最近ではエスカレートして娘を叩いたり外に投げ出したりしてしまいます。直後に自己嫌悪感に襲われますが、そのときのイライラが抑えられません。私自身もヒステリックな母親に支配的に育てられました。娘に悪いという気持ちがあるのに自分をセーブできません。娘の心に生涯消えない物が残ってしまうことを案じています。これからでも、関係は改善できますか。そのためにどうすればいいでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 わかっているのに、思うようにならない自分。たくさんのつらい思いをしてこられましたね。
 これから、お子さんとの関係は改善できます。でも、まずはあなたご自身のことを考えていきましょう。

 あなたは、娘さんに「悪いという気持ちがある」し、「直後に自己嫌悪」に襲われています。そういう体験が繰り返されることは自分に自信をもてなくさせ、あなたを追いつめてしまいます。ですから、お子さんを「ヒステリックに怒鳴ったり」「自分をセーブできない」ということを、少なくしていきたいのです。

 というのも、あなたご自身が「ヒステリックな母親に支配的に育てられた」たため、子どもを強く叱ることはあなたにとって、自分が育てられた「子ども時代」と子どもを育てる「親時代」の現在とを合わせた、ダブルの体験になってしまうからです。

 あなたはお母さまとの関わりのなかでつらい思いをしてこられたと思います。そして、お母さまのような母親にはなりたくない、とさえ思われたかもしれません。でも、子どもの頃から見聞きしてきた「母親」の行動パターンはあなたのなかに記憶されています。ですから、同じような場面に出合うと、その記憶が無意識に引き出され、同じような行動をお子さんにしてしまうのです。そのとき、自分自身に無力感や失望、怒りを感じて、そういう思いにさせたお子さんにその怒りをぶつけることで、「悪いのはこの子で、私ではない」と自分を守ろうとします。

 あなたは「物事が思い通りにならないとすぐにイライラしてしまう性格」と書いていますが、それにも理由があります。誰でも、思い通りになったほうが楽です。でも、すぐにイライラするかどうかは人によって違います。何か自分の思い通りにならないことがあったとき、子どもの頃に親の思い通りにならないと強く叱責されたりしていると、「また怒られる」と思って不安になったり、怒られることを回避したりしようとします。その焦る気持ちが「すぐにイライラ」することにつながります。いずれにしても、もっと大きな危機から自分を守ろうとする行動なのです。

 では、どうやって「自分をセーブ」したり、「すぐにイライラ」しないようにできるのでしょうか。「私を育てた母親が悪かった」と責めたくなりますが、人は人。いちばん大切なことは、あなたが自分を信頼することです。「私は自分をセーブできる」という、自分に対する自信をもつこと。もちろん失敗することはあってよいのです。自分がそうしたいという方向さえぶれずにもち続ける覚悟ができれば、いまからでも十分大丈夫です。

 でも、その覚悟はなかなか難しいかもしれません。そのときは、誰かあなたが信頼できる人に話して「大丈夫。あなたは自分をセーブできる」と言ってもらうことで、覚悟し続けることもできます。誰か、ひとりでいいのです。絶対にあなたを裏切らないあなたの味方は誰でしょうか。

 あなたは子ども時代つらい思いをしたかもしれません。それは一見、過去のことのように思えますが、同じような場面になったとき、すなわち、「子どもを育てる」という逆の立場ではありますが、その場面になったときに再び現れてきます。実は子育ては、あなたのつらさと向き合いきちんと克服していく、あなたが自信をもって幸せに生きるチャンスでもあります。

 子どものいちばんの幸せは、母親が笑っているときだそうです。幸せで楽しく笑えるあなたになることが、お子さんとの関係を改善するためにいちばん大切なことです。

 お子さんへの関わりであなたに心がけてほしいことは2つだけ。お子さんに「あなたが悪いわけではない」と伝えること。そして、あなたが自己嫌悪に陥ったときに「さっきは、ママがイライラしてごめんね」と謝ること。それによって、お子さんは自信とあなたへの愛情を取り戻すことができます。

 そして、もしも、ひとりでは難しければ、どんどん保健センターや子ども家庭センター、育児相談等を活用してください。そこにも、必ずあなたの味方になってくれる人がいます。