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気になる子どものようす

Q. もうすぐ6歳。母親と一緒にいたがり、このままでは自立できないのではと不安です。 (2015.9)

  • (妊娠週数・月齢)6歳

もうすぐ6歳になる息子です。後追いがひどく、私がトイレに行くときや家の前にゴミを出しに行くとき、庭に水を撒くときなど、居場所や理由を告げても必ずついて来ます。もともと私から離れるのを嫌がる子で、買物中や出先では片時も離れません。幼稚園や習い事などのときには問題なく離れて行きます。ですが、それ以外はいつも一緒にいたがります。このままでは自立できないのではと心配しています。息子への言葉かけや対応の仕方についてアドバイスをお願いします。

回答者: 帆足暁子先生

 もうすぐ6歳の息子さんが、あなたといるときは後追いがひどく、いつも一緒にいたがるのですね。確かに、自立できないのではと心配になる年齢だと思います。

 では、お子さんの自立が順調に進むために何ができるかを考えてみましょう。

 大事なポイントは2つあります。
 ひとつは、「息子さんがあなたといたがる」という事実です。そこには必ず理由があります。もし、「ママが大好きで、一緒にいると楽しいから」ということであれば心配はいりません。自分の意思に基づいて行動しているからです。でも、「一緒にいないと不安で不安で仕方がない」ということであれば、「不安」に行動が束縛されているので、その不安を軽減して自分の意思で自由に行動できるようにすることが必要です。

 息子さんの「不安」が何かわかりますか。
 子どもの不安が持続する場合、その不安が子どもの内面にある場合と子どもの環境にある場合とがあります。

 もともとあなたから離れるのを嫌がるお子さんだったということですから、息子さん自身が不安になりやすい傾向があるのかもしれません。繊細な子どもはアンテナが豊かで他の人が感じないような刺激もキャッチしてしまいやすく、不安になることがあります。この場合は一つひとつその事象を理解できるように説明することで、時間はかかりますが、安心できる心が増えていきます。そのぶん知識もたくさん身につきます。

 あるいは、乳児期初期に怖い体験をした記憶が抽象的な不安となって残っている場合もあります。その場合は、怖い体験の記憶を整理したり、その記憶を上回るような楽しかったり安心したりする記憶をつくっていくことで、安心感を得ることができます。

 一方、環境から不安になる場合は、さまざまなことがあります。転居等による生活環境の変化、大好きな祖父母が亡くなった、赤ちゃんが生まれた、父親の単身赴任など子どもに直接関わる不安や、母親や父親が抱えている不安を子どもが感じて不安になったりすることもあります。直接関わる不安は、安心できる環境をつくったり、安心できる時間を一緒に過ごしたりするなどで、その状況に適応できるようになると収まることも少なくありません。

 でも、母親や父親が抱えている不安の場合は、その不安を整理することが難しいように思います。それは、単純なものではなく、蓄積された思いだったり、複雑な思いだったりするからです。夫への不満、妻への不満、DV、実母との確執、夫の単身赴任、ママ友の関係……。子どもはそのような状況にある親のマイナスの気持ちをキャッチして、不安になってしまいます。

 その場合、もし理解力が高い6歳児であれば、子どもにわかる範囲で理由を説明して「〇〇だからつらいなぁ、と思うことがあるの。でも、ママは大人だから大丈夫よ」と、「おまじない」を伝えることで安心できる場合もあります。根本的には、あなたが「抱えている思い」を整理するために、必要に応じてカウンセリングを受けたり、相談したりすることをお勧めします。そういう思いをもち続けることは楽しくないからです。

 最後にもうひとつ、大切なこと。後追いがひどく、離れない息子さんですが、「幼稚園や習い事などのときには問題なく離れて行きます。」とのこと。離れられる体験があるのです。これがあれば大丈夫。もしかしたら、幼稚園や習い事は「離れる場所」と息子さんが認識しているのかもしれません。離れられる体験があれば、そこで「離れられる自分」のイメージができ、「自分は大丈夫」という自信が育ちます。なぜ、そこでは離れられるのか、お子さんの様子を見ながら理由を考えてみると、何かヒントが得られるかもしれません。

 お子さんは大丈夫です。ちゃんと自立していきます。何より、こうしてお子さんに心をかけるあなたがいるからです。

 それでも、つらかったり不安になったら、子ども家庭支援センターや保健所等でぜひ相談してみてください。社会のサポートや子育て支援者をどんどん活用していきましょう。