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ママ・パパの気持ち

Q. 海外でイヤイヤ期の娘を育てる暮らしがつらく、毎日涙が溢れます。 (2015.10)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

ベルギーの田舎町に住んでいます。海外での孤独な子育てがつらく、いつも娘を怒鳴ってばかりいます。2歳3か月の娘はイヤイヤ期真っ直中で自己主張が激しく、言葉も達者で親に指示もしてきます。そして、いったん嫌になると声が枯れるまで泣き続けます。ここには日本人コミュニティもなく、現地の子どもたちは生後4か月から保育園に行くため公園にもいません。保育園に申し込みましたが入れませんでした。晴れた日は公園に行けるのですが、雨が続くと行く場所もなく家にこもりきり。親子とも参ってしまい、相談する先もありません。私は毎日涙が溢れ、それを見た娘は「ごめんなさい」と何度も謝ります。このままでは良くないと思うのですが、解決策が見出せません。アドバイスをいただけたらと思います。

回答者: 高橋惠子先生

 暗いムードができあがってしまいましたね。このようなときには、顔を上げて、胸を大きく開いて、深呼吸をしてみましょう。つらいとき、人は視線を落とし、肩をすぼめて、浅い呼吸をしがちです。「大丈夫」「乗り切れる」と声に出して、深呼吸を繰り返して、まず、身体を楽にしてください。

 それから、娘さんとは向かい合うのではなく、横に並ぶ気持ちをもってみましょう。2歳3か月児といえば、もう人間として立派な“同士”になれます。横に並んで、手を繋いで、一緒にこの状態を切り抜けようね、と考えてください。 

 幸い、子どもさんの成長はしごく順調で、イヤイヤ期に入っていますね。「イヤイヤ」といわれると面倒だし、腹の立つことがあるかもしれません。しかし、もう子どもは自分の意志をもち、それを主張する能力が発達しているのです。この時期には、子どもの「イヤイヤ」の理由に耳を傾け、母親も許せないことについては「ダメ」だと自己主張することが重要です。怒鳴るのではなく静かに話しましょう。2人で怒鳴りあっては悪い状態がエスカレートするばかりです。母親が静かに辛抱強く「ダメ」の理由を言えば、子どもは自己主張の仕方のお手本を知ることになります。しかし、子どもに平静に接するには、母親が安定した幸せな状態であることが必要です。

 では、どうしたら安定した幸せな状態になれるでしょうか。文面からはなぜベルギーにおいでになったのかわかりませんが、もしかしたら、ご自分は不本意なのにいらしたのではないかと推察しました。夫の留学や転勤について行った(多くは日本での仕事をあきらめた)女性たちから、似たような悩みの相談をよく受けるからです。そのような人たちには、母親や妻としてではなく、つまり、他人のためにではなく、自分のための“何か”をするべきだと勧めています。自分のためにする“何か”を見つけて、それに力を注ぐことです。手芸、読書、スポーツ、何かの勉強など、何でも自分の好きなことを始めてみましょう。何かを始めると、そのためにネットで調べたり、ブログに載せたり、講習を受けに行ったり、現地の人と話したりする必要が出てくるでしょう。家の中に母子で閉じこもってはいられなくなるでしょう。言葉の違いは障碍になるかもしれませんが、必要があれば片言でもジェスチャーででも通じるものです。

 シスター渡辺和子は「置かれた場所で咲きなさい」と、その著書のなかで書かれています。大変重要な提言だと思います。母親になったことも、現在ベルギーに住んでいることも、あなたにとって引き返せない現実です。その置かれた場所で、自分のための“何か”を追求し、あなたらしい暮らしをめざしてください。家事や育児の合間をぬって、あなたのために使う時間を見つけてください。きっと、事態は好転すると思います。