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性格・親のかかわり・育て方

Q. 家ではふざけてばかり、集団行動も苦手な2歳の息子にイライラしてしまいます。 (2015.11)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳7か月の男の子です。家ではふざけるばかりなので腹が立ち、何度言ってもやめないと「暗い部屋に連れて行くよ」と脅したり、怒鳴ることも多いです。強く言い過ぎたり、言いなりにさせようとし過ぎたりしている自分に気づきますが、抑えられません。いちばん困るのが、子育て支援の場などで「読み聞かせの時間」などに参加するときです。息子は、まわりにおもちゃがあってやりたいことがあるのに、なぜみんなと集まらなければならないのかと嫌で仕方なく、泣きわめくので、外に連れて出ることが多いです。ほかの子たちはお母さんの膝の上で話を聞いたり手遊びをしたりしているのに……と思うと余計にあせってイライラし、帰宅してからも子どもに冷たくしたりしてしまいます。とても子どもらしい子だと思う反面、幼稚園に入る頃になってもこんな状態では集団に馴染めないのではと心配です。また、私の対応がこの子を傷つけているのではないかと自己嫌悪も感じています。

回答者: 帆足暁子先生

 ステキなお子さんですね。あなたが書かれている通り、とても子どもらしい子どもです。でも、あなたはそう思いつつ、つらい思いを抱えていらっしゃいます。
 お子さんが集団に馴染めるかというご心配と、あなたご自身のお子さんへの対応について考えていきたいと思います。

 まず、お子さんのことを考えていきましょう。2歳7か月、自我が十分に育ってきて、自分の思いを主張してくる時期です。ふざけてばかりであなたの言うことを聞かないのだとすれば、あなたとまだまだ遊びたい気持ちがたくさんあるのかもしれません。あるいは、叱られる場面でのことだとすれば、あなたに叱られないように、ほんとうは緊張しているのに、ふざけることで自分を守ろうとしているのかもしれません。いずれにしても、「ふざけるばかり」にも、必ず意味があります。

 もっと遊んでほしいのであれば、公園などでたくさん体を使って遊んでみるのもよいですし、叱られることから自分を守ろうとしているのであれば、守らなくても大丈夫という思いがもてるように、叱りを「感情的にならずに簡単に説明する」という手段にすることもできます。

 それから、「子どもらしい子ども」は子育て支援の場などでの「読み聞かせの時間」は苦手です。「自分」の思いが中心になるお子さんですから、当然、自分のやりたいことを実行しようとします。それを阻止されるのですから嫌になります。でも、親としては、「みんな」と同じように、母親の膝の上で話を聞いたり手遊びをしてくれたら安心します。なぜなら、日本では「みんなと同じ」ということは安全だからです。でも、欧米では、「あなたは何をしたいのか」という自主性が重んじられます。そのときに絵本を読んでもらいたければ絵本を読んでもらいますし、やりたいことがあればそれをします。2歳代はそういう時期になります。それでよいのです。

 あなたがされていらっしゃるように、読み聞かせが嫌だったら帰ってもOKです。あるいは、お子さんが好きなキャラクターが出てきたら少し大げさに「わぁ〜、〇〇が大好きな××が出てきた!何が始まるのかな〜」などと、その魅力を強調するような言葉掛けをして、みんなと一緒に座っていられるようなアプローチをするのもOKです。

 自分のやりたいことよりも楽しそうなことが起きれば、それに惹きつけられていきます。また、読み聞かせをしてくれる先生が大好きだったら、その先生の期待に応えようとして、みんなと一緒に座ったりします。そうして、自分のやりたいことと大好きな人に求められている行動との狭間で揺れながら、その時々の場面や状況に応じて自分で判断していきます。これも、自主性の発達過程です。
ですから、幼稚園のことをご心配かもしれませんが大丈夫です。子どもはこういう発達の道筋のなかで育っていくのです。

 それから、あなたのお子さんへの対応についてです。
 あなたは、ほんとうによくお子さんの気持ちを理解できていると思います。なぜお子さんが「読み聞かせ」に参加しないのかという気持ちがわかっています。これはとても大切なことです。

 親ですから、ちゃんとできる子どもになってほしいとか、みんなと同じことができるようになってほしいという願いをもつのは当然です。ですから、その願いを裏切るような子どもの姿に、怒りや失望を感じてしまいます。

 ただ、その怒りや失望は、親の「思う通りにならない」ことから起きていることがほとんどで、子どもの幸せにつながらないことが多いのです。大人も子どもも怒りをぶつけられたら傷つきます。そして、傷つけられることからよいことは生まれません。

 ひとつ気になることがあります。あなたは、「強く言い過ぎたり、言いなりにさせようとし過ぎたりしている自分に気づきますが、抑えられません」と書かれています。「気づいている」のに「抑えられない」ということは、とてもつらいことです。あなたは子ども時代に、感情のコントロールができない大人に傷つけられたことがありませんでしたか。あなたの子ども時代に、あなたの気持ちをちゃんと理解して受け止めてくれる大人がいれば、自分の気持ちを抑えられないということは起きにくいのです。ですから、「感情のコントロールのできない大人」の影響が、あなたの記憶に刻み込まれてしまったと考えるとわかりやすいでしょう。あるいは、いまの生活のなかであなたの味方になってくれる人の存在がなく、常にひとりでがんばっているので、心にゆとりをもつことができない状況なのかもしれません。

 「強く言い過ぎたり、言いなりにさせようとし過ぎたりしている自分」に気づけた自分をたくさんほめてあげてください。

 いまのお子さんの年齢は、主張することがいちばんの発達の象徴です。でも、1か月2か月と過ぎていくなかでいろいろアプローチを変えてみても、お子さんが全然変わっていく様子が見られなければ、子育て支援の場などで相談してみてください。きっと一緒に考えて、よいアドバイスをもらえると思います。