性格・親のかかわり・育て方
Q. 第2子妊娠後、2歳の息子が父親ばかり求めるようになりました。 (2015.12)
- (妊娠週数・月齢)2歳
第2子を妊娠してからつわりがひどく、入院もあり、2歳の息子と離ればなれの生活になりました。息子の世話のほとんどすべてを夫が負担してくれ、息子は朝早くから夕方遅くまで保育園で過ごす生活になりました。退院後も自宅安静を指示されており、夫が息子の世話をしています。息子は妊娠してから私になつかなくなりました。離れていて世話もできなかったので心が離れてしまったと思い、できる限り世話をしたり遊んだりしていますが、以前のようにはならず夫ばかり求めます。私も段々心が折れ、息子と接することができなくなりそうです。「ママっ子だったのに」と、毎日切ない思いでいっぱいです。アドバイスをいただけたらと思います。
回答者: 高橋惠子先生
「母親の立場」ではなく「子どもの立場」に立って、事態をしっかり理解することが必要です。愛着の対象であった母親が育児をできなくなるというのは、子どもにとっては深刻な危機です。これを無事に乗り切った子どもを誇りに思ってください。「子どもの立場」から考えたら、たいした成長です。子どもの母親への関心が弱まったことを嘆いたり、父親に嫉妬したりするのは、やめましょう。これは母親が成長するチャンスだと思います。
子どもが何かにつけて父親を求めるのは、愛着の第一の対象が父親になったからです。愛着の対象とは、子どもの生命や心に安心・安全をもたらす人です。それまでの第一の愛着の対象であった母親が自分を護ってくれなくなったのですから、幼い子どもが安心・安全を保証してくれる代わりの人を求めるのは当然のことです。お子さんには幸い、母親に代わって世話をしてくれる父親がいて、しかも立派な愛着の対象になったのですから、母親としては「よかった」と喜んでください。
おそらく、母親は第二の愛着の対象になっていると思われます。このように子どもが複数の愛着の対象をもつことがありますが、子どもがもっとも困る場面では、愛着の第一の対象が世話をしてくれることを望みます。愛着の対象は安心・安全をもたらしてくれる人ですから、困ったときには真っ先にその人を頼りにするのです。二番目の愛着の対象は子どもが機嫌のよいときや、第一の対象が不在の時に頼りにされます。
以前はママっ子だったのにと、寂しく思う気持ちはわかりますが、子どもがこのようにスムーズに父親を愛着の対象とすることができたのは、母親が安定した質の良い愛着を育てたからだと思われます。自信をもちましょう。
子どもは大好きなお母さんを信じて、そのお母さんと仲のよいお父さんとの関係を築けたのだといえましょう。母親はこうして子どもと良い質の関係をつくりながら、子どもに人への信頼感を育て、冒険する勇気を与えて、まわりの人々に子どもを渡していく役割をする人なのです。
母親が子どもにかかわり過ぎると、子どもは世界を広げることができなくなります。ママっ子を早めに卒業して、父—息子関係を築いた2人を頼もしいと受けとめましょう。もうすぐ第2子を迎えるのですから、長子が母親離れしてよかったではありませんか。