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歯とお口のケア

Q. 生後10か月。歯の発育が遅いことと斜め線のような切れ込みが気がかりです。 (2015.12)

  • (妊娠週数・月齢)10か月

生後10か月の女の子です。ようやく歯が生えてきましたが、歯に斜め線のような切れ込みが入っています。周囲の子に比べて歯の発育が遅いのではないか、これからまっすぐに生え揃うのかと、心配しています。

回答者: 井上美津子先生

 結論を先に申し上げますと、歯の生える時期はゆっくりめですが心配いりません。斜めに切れ込みが入っている歯というのは、癒合(ゆごう)歯かもしれません。

 乳歯でも永久歯でも、歯の生える時期や順序には個体差があります。乳歯は生後6〜8か月頃、下の前歯(乳中切歯)から生え始める子どもが多いのですが、早い子どもでは4か月頃から生え始め、遅い子どもでは1歳のお誕生頃にやっと生えてきます。このくらいの幅は正常範囲です。10か月で生え始めたということで、少しゆっくりめではありますが心配は要りません。

 生える順序も、上の前歯から生え始めたり、脇の歯(乳側切歯)が先に生えてくる子どもが少数ながらいます。10か月で生えてきたのでしたら、歯の発育の遅れを心配する必要はありませんが、歯の生え方がゆっくりな場合には、離乳食の食形態のステップアップを月齢よりゆっくりめにしてあげるとよいでしょう。

 歯の形で、斜めに切れ込みが入っているということですが、癒合歯の可能性があります。癒合歯は、歯の発育過程で2本の歯がお互いにくっついて(癒合)しまったもので、永久歯よりは乳歯に多く、下の前歯に見られやすいものです。乳歯での発現頻度は1〜5%といわれています。1歳を過ぎて前歯が揃ってくると、歯の形や数などの状態がはっきりしてくるでしょう。その時点で心配でしたら、小児歯科を受診して相談し、歯みがきのアドバイスなども受けるとよいでしょう。1歳6か月児の歯科健診の折に相談することにしても、遅くはありません。

 癒合歯では、切れ込みや癒合部の溝に汚れがたまりやすく、むし歯ができやすくなりますので、歯みがきに気をつけましょう。また、2本分の乳歯が癒合した場合、歯並びや咬み合わせにも多少の影響がでることがあります。乳歯列の時期には経過を見ていくことになりますが、永久歯への生えかわりに際しては注意が必要ですので、かかりつけ歯科で定期的にチェックをしてもらい、4歳を過ぎたらエックス線写真で永久歯の数や発育状態を確認しておくことをおすすめします。永久歯の状況で対処法も異なりますので、歯科医師とよく相談してください。