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性格・親のかかわり・育て方

Q. 4歳の長男は乱暴で集団行動ができず、保育園で問題児扱いされています。 (2016.1)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳8か月と2歳2か月の男の子2人の母です。長男はかけっこや歌など集団行動がまったくできず、友だちを威嚇したり、手を出したり。「てめぇ、死ね、ウザイ、殺す」など、夫の口癖ばかり真似します。保育園では問題児扱いで、園をやめさせたくなるほどです。店を経営しているため、昼夜仕事で1日のうち2時間ほどしか子どもと過ごせず、夫とも別居中です。平日休みの日は園を休ませて、一緒に過ごします。長男について「家庭環境のせいだ」「病気じゃないのか」などと言われ、そうした周囲の言葉で私自身が病んでしまいそうです。次男が何でも自分でできる分、長男がなぜできないのか、わかりません。将来も不安だし、自分が虐待しないかと怖いです。

回答者: 帆足暁子先生

 ひとりで、よくがんばっていらっしゃいますね。 お子さんを「夫の口癖ばかり真似」しているとわかっていらっしゃる。でも、そう思うこともつらいことです。

 いまのお子さんの様子だと、将来が不安になると思います。なぜなら、「保育園では問題児扱い」されているからです。つまり、お子さんの立場から考えれば、「爆発せずにはいられないくらい不安で悲しくてイライラしているぼくを、誰も愛してくれない」「こんなにつらいのに誰も助けてくれない」ということでしかないからです。

 人は、誰にも愛されないつらさには、社会や他者を攻撃して愛されない自分を正当化するか、自分の心を閉ざして自分の内面に籠もって状況を見ないふりをするか、どちらかしかありません。お子さんは集団行動をしなかったり、友だちを威嚇したり手を出したり、夫の口癖を真似したりすることを通して、全身で助けを求めています。でも、残念ながら、まわりにわかってもらえるようなアピール力が身についていないのです。

 お子さんに対する周囲の人の言葉で病んでしまいそうなあなたも、すでに全身で助けを求めています。でも、母親だから、あなたは必死でつらさに振り回されないようにがんばっているのです。
病んでしまいそうなほどつらいあなたと、問題児扱いされているお子さん。ふたりとも、誰かの助けが必要です。

 あなたが「長男を虐待しないかと怖い」と思うのは、あなたの味方が誰もいないような気がしているからではないでしょうか。そして、お子さんの良さを引き出せるかかわりがわからなくなっているからではないでしょうか。
 でも、大丈夫。こうして相談を通して、助けを求めることができるあなたです。一緒に考えていきましょう。

 下のお子さんは何でも自分でできるのですね。下の子は生まれたときから同じ「子ども」というモデルがいますから、要領よくなることが多いのです。そして、叱られている兄の姿を見て、どうしたら叱られないのか、ほめられるためにはどうしたらよいのかということが具体的にわかりやすいのです。

 あなたは上のお子さんのどんなところが好きですか。ひとつでもいいので考えてみてください。そして、そのひとつをたくさんほめて、「大好き」と言ってあげてください。

 お子さんの問題は、どうしてよいかわからないイライラを集団行動をまったくしないことや「爆発」として表現することで、かえって問題児扱いする周囲の見方を引き出してしまっていること。そして、その結果さらにイライラして、「やっぱり誰も自分をわかってくれない」「愛してくれない」という思いになって、さらに爆発するという悪循環に陥っているところにあります。これを断ち切らなければ、お子さんを助けることはできません。保育園の先生方がお子さんのつらさや助けを求める声に気づかないのであれば、あなたがわかってあげてください。

 でも、あなたも人間。ゆとりがなければ、わかってあげたくてもその気持ちが起きてきません。そういうときはそれでよいのです。気持ちがついてこなくても、朝起こすときの一瞬、眠るときの一瞬に、「あなたがいちばん好き」と言ってあげてください。次第にそう言っている自分が、そして言われているお子さんが、自信をもてるようになると、その瞬間がお互いにかけがえのないものになっていきます。そして、お子さんにあなたに愛されている実感ができると、いままで隠れていたお子さんのよい面が出てきます。同時にあなた自身の隠れていたよさも出てきて、不思議なことに、あなたはお子さんといることが楽しくなってきます。

 そこに至るまでの過程には、ひとりでは抱えきれないこともあります。あなたを支えてくれる人はいますか。もしもいなければ、地域の保健師さんや、子ども家庭支援センター等であなたの目にかなう人を探してみることもよい方法です。

 仕事がお休みのときには、ひとりでのんびりしたい気持ちもあるでしょうに、園を休ませてお子さんと一緒に過ごされるのですね。あなたのお子さんは、あなたが母親で幸せです。

 大変なときは誰にでもあります。肝心なのは、大変なときに何を大切にするか、です。あなたはステキな人です。自信をもってください。