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性格・親のかかわり・育て方

Q. 2歳の女の子。親と一緒だと陽気にふるまいますが、人の集まる場所が苦手です。 (2016.1)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳1か月の娘の母です。娘の性格は警戒心が強くて慎重で怖がり、恥ずかしがり屋で人見知りです。親と一緒のときはよく笑い、踊ったり歌ったり走り回ったりし、よく喋りもします。しかし、児童館など人が集まる場所に行くと入るのを嫌がり、私にほとんどくっついたまま離れません。まわりの人たちの笑い声を聞くと泣きそうな顔になり、抱っこを要求します。安心するよう要求に応えて「大丈夫よ」と声かけをしていますが、0歳の頃から人の笑い声を聞くと泣くことがよくあり、人の集まる室内が苦手のようです。これからどんな対応をしていったらよいでしょうか。アドバイスをいただけたらと思います。

回答者: 高橋惠子先生

 母親の前では元気で陽気にふるまっているのですから、本来は明るく、生活を楽しむ能力をもったお子さんだということがわかります。しかし、赤ちゃんのときから賑やかな状況がとても苦手であったというのですから、「神経質である」という“気質”をもって生まれているのだと考えられます。“気質”は性格の基盤になるもので、それぞれの人が生まれもった性質です。したがって、これは両親のどちらかから受け継いだ傾向だと考えられます。

 赤ちゃんの“気質”は4グループに分かれるとされています。(1)たいていいつでも機嫌がよいタイプ、(2)神経質なタイプ、(3)新しいことに取りかかるのに時間がかかるタイプ、そして、(4)すべての特徴をあわせもつタイプです。

 (2)の神経質な気質をもって生まれた子どもは、ご質問のお子さんのように、新しい場所、人、出来事が苦手で、また、大きな音や賑やかさが嫌いで、引っ込み思案になりがちですので、大人から見ると扱いにくく思われます。また、このタイプの子どもは現在の社会で生きていくうえで不利ではないかと、心配されることにもなります。

 “気質”が生まれつきの性質だといわれると、「変えられない」と思いがちですが、けっしてそうではありません。誕生から青年期になるまでをずっと追跡した大規模な研究によって、実は、“気質”が変化することがわかりました。人の発達は“遺伝子”と“生まれた後の経験(体験、しつけ、教育)”の両方で決まるからです。(2)のタイプを(1)のタイプにとか、(1)を(2)にとかいう“遺伝子”を無視した変更は無理ですが、“気質”は成長の過程での経験や本人の意思で、それなりに、つまり社会生活に適応できるように変わりうることがわかったのです。

 親として、まず大切なことは、それぞれの子どもの“気質”を受け入れ尊重することです。それぞれの“気質”は個性の基盤ですから否定してはいけません。いずれの気質にも、長所と短所があります。たとえば、(2)の神経質なタイプは、新しい環境が苦手であるという性質が不利に働く場面もありはしますが、新しい変化に敏感であるので、細かい事柄に気づき、物事に慎重に取り組み、大きな成果を上げうるという面は長所になるでしょう。そのうえで、神経質のままでは経験が限られてしまう、生活する空間が拡がらないと危ぶまれれば、子どもにあった方法で、新しい経験ができるように、少しずつ慣れるようにサポートすれば克服できます。

 たとえば、児童館ですぐに子どもに混ざって遊ぶのは難しいとすれば、子どもは子どもが何かしているのを見るのは好きですから、第一歩は、児童館では他の子が遊んでいるのを見ることを目標にするといいでしょう。それに慣れてきたら、少し年下の子どもや面倒見の良い年長の子どもを探して、近づいてみましょう。こうして少しずつ馴らしていくと、子どもは少しずつ「やれる」という自信をもち、やがて自分でもそのコツがわかるようになります。このような経験と当人の努力が、“気質”の長所を基盤にしながら、それぞれの個性をもつ子どもへと育てるのです。