家族関係・夫婦・ママ友
Q. 在仏の2歳男児。事実婚の父親と別れることになり、今後のかかわり方を思案しています。 (2016.2)
- (妊娠週数・月齢)2歳
在仏10年、もうすぐ2歳になる男の子の母親です。フルタイム勤務で、子どもは生後3か月から預けています。2歳を直前に子どもの父親が家を出て行くことになりました。事実婚でしたが、父親は子の認知をしており、今後も子どもに頻繁に会いたいと言っています。経済的には私がひとりで養育費を出しており、父親は不在が多く、預け先への送迎以外は私がほぼひとりで世話をしてきたので、子どもを渡したくないという自分勝手な気持ちがあります。いまの彼の経済状況からは、こちらで時々見られるような、1週間交代で父と母の家を行き来するという育て方は無理ですが、将来はそうしたいと父親は思っています。父親と息子の関係は良好です。今後別れた両親とどのようなバランスで過ごせば子どもにとっていいのでしょうか。基本的に私と過ごし、時々父親に会うというリズムのほうが子どもが混乱しないのではと私は思っていますが、実際の子どもへの影響は想像できません。こうした状況での子どもの育ちについて、アドバイスをいただけたらと思います。
回答者: 高橋惠子先生
日本国内で調停離婚をした場合、8割の親権者が母親であり、父親は養育費も払わず子どもとの面会も拒否されている事例が多いのが現状です。それに対して、2012年に民法が改正施行されました。この改正民法では、離婚の際に「子どもの利益を最優先」としたうえで、「父または母と子どもの面会交流」と「養育費の分担」について協議して決めること、そして、もしも決められなければ家庭裁判所が定めることになりました。つまり、「子どもの利益最優先」「面会交流」「養育費」の3点が新しく加わったのです(詳細は法務省のホームページを参照してください)。
フランス在住で事実婚であるご相談者の場合は事情が異なるでしょうが、やはり、この3点は重要だと思います。
おとなの事情で両親が離別しても、子どもにとって親は、「誰の子どもであるか」という出自を明らかにする人であり、誕生や成長を喜んでくれる「心の居場所」を提供してくれる人であり、生活に必要な経費を用意してくれる人である、ということにかわりはありません。したがって、親同士は離別するほどに仲が壊れていても、親になった以上、これらを提供しなければならないと思います。この点を、まず確認してください。
そのうえで、面会交流でもっとも重要なことは、子どもの利益を最優先するという点です。どのように面会交流をするかは、子どもの年齢、健康状態、性格、そして、別れた親との関係などを考慮して決めていくのがよいでしょう。まだお子さんは2歳ですから、いまから将来の面会交流について決めるのは無理だと思いますし、考えるのも難しいと思います。その時々に考えようと大きく構えましょう。
面会交流をしたら、面会したあとの子どもの様子(うれしそうか、機嫌はよいか、疲れていないか、など)を両親がよく協力して判断し、子どもにとってどのような方法(頻度や期間、どこでどのように会うか、宿泊させるかなど)がよいかを決めていくのがよいと思います。3歳くらいまでは宿泊を伴う面会交流は避けたほうがよいという研究もあります。
かつて、米国の友人の子どもたち(当時、小学校低学年の兄妹)が1週間ごとに離別した両親の家に移り住んでいるのを見て、おとなにとっては合理的で公平であろうとも、子どもにはたいへんな日々であろうと考えさせられました。しかし、当の子どもたちは元気で楽しそうでした。周囲にもそうしている子どもがいて、そういうものだと親も子も考えている様子でした。父親は子どもに便利なようにと近くに転居してきていました。この方法は欧米で使われる面会交流の仕方のひとつなのでしょう。ですから、在仏であれば、将来は選択肢のひとつになるかもしれません。けれども、いまは「子どもが小学生になったら考えよう」としておく程度でよいでしょう。