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性格・親のかかわり・育て方

Q. 発達に課題のある息子たちの子育てがつらく、怒鳴り散らすなどしてしまいます。 (2016.2)

  • (妊娠週数・月齢)3歳
  • (妊娠週数・月齢)7歳〜

小学校1年と3歳の2人の息子を怒鳴ってしまいます。長男は自閉症スペクトラム、次男はグレーゾーンだと言われています。2人が一緒にいるとすぐにどちらかが泣き叫ぶ事態になり、私はその泣き声やぐずぐず言われることがしんどく、最近では怒鳴り散らしてしまいます。 腹が立ってしょうがないです。怒りがおさまりません。私も何かしら特性があると感じます。最近では育児放棄気味で、横になって寝ている日が多いです。療育には連れて行くのですが、すり合わせをすることや、他の保護者や先生とのやりとり、改善されない子どもたちの行動が嫌になってきます。夫は育児に協力的ですが、出張も多いです。長男は下の子が嫌がっているのにしつこくする、下の子は兄のおもちゃを壊し、そのたびに兄は1時間以上泣き叫ぶなどし、どうしたらいいのかわかりません。私も心療内科を受診しようと2回予約しましたが、2回とも起き上がれなくてドタキャンしてしまいました。

回答者: 帆足暁子先生

 ほんとうにどうしたらよいかわからない状況ですね。一つひとつ考えていきましょう。

 まずは、いちばん大変なあなたのことです。「お子さんたちの泣き声やぐずぐず言われることがしんどく、最近では怒鳴り散らしてしまいます」し、「腹が立ってしょうがない」「怒りがおさまりません」ということですね。そして、あなたご自身も何かしら特性があると感じていらっしゃるのですね。そのうえ、「最近は育児放棄気味で、横になって寝ている日が多い」ということから考えますと、いまのあなたの「どうしたらいいのかわからない」という状況は、あなたの心と体からのSOSです。できるだけ早期にいまの状況を変える必要があります。そのためには2つの方法があります。

 ひとつは、あなたから動く方法です。あなたが試みられたように、心療内科の受診や小児科等でのカウンセリングを通して、あなたが抱えているネガティブな感情を整理し、今後の方向を見いだす援助をしてもらうことです。2回ともドタキャンして次に予約しづらいと思われるかもしれません。でも、それがいまのあなたの状況なのです。そういうあなたのありのままを受け入れてくれる医療機関を見つけてください。必ずあるはずです。

 もうひとつは、あなたは動かない方法です。あなたの家に保健師など母子の支援の専門家に来てもらうことです。寝ている日が多くなっている、いまのあなたのままでよいのです。ありのままのあなたの状況を見てもらい、どういう支援が受けられるのか、どういう方法を選択することができるのかなど、あなたが助けてもらいたいことも含めて納得がいくまで話し合ってください。電話をするだけで担当の保健師が訪問してくれるはずです。

 そして、誰かに支えられている実感をあなたがもつことができれば、「どうしたらいいのかわからない」という状況から抜け出すことができます。

 さて、次にお子さんたちのことを考えます。療育に通うということは、付き添うことによる時間等の制約だけでもたいへんなのに、付き添うことによる体力の消耗やさまざまな人とのやりとりなど、療育に付随して生じる負担は半端なものではありません。そのうえ、診断を受けて療育が開始されると、「子どもの問題は解決されていくもの」という期待をもちやすくなります。それなのに現実には、薄紙をはぐようにゆっくりゆっくりとしか変わりません。ですから、「なぜ改善されないのか」という落胆や怒りなどの思いが強くなるのです。

 また、上のお子さんは「嫌がっているのにしつこくする」と見えますが、そこに特性が表現されています。なぜなら相手の「嫌がっている」という感情認知の能力が弱いのです。ですから、一見わざとやっているように見えてしまいますが、お子さんに悪気はまったくありません。同様に、「しつこくする」ことになるのは「しつこくしたいから」ではなく、自分の感情のコントロールができないからです。

 では、どうすればよいか、です。
 どういうときにお子さんたちは泣き叫ぶこと(マイナスの状態)になってしまうのか、どういうときだと2人で穏やかにいられる(プラスの状態)のかを、日頃の生活のなかで整理してみてください。そしてできるだけ、そのときの「2人の位置」「遊び」「場所」「時間帯」「持続時間」「あなたの言葉かけ」「そのときのあなたの状況や思い」なども併せて記録してください。そのなかに、あなたがお子さん2人と一緒にいてもしんどくならない生活をつくるヒントがあります。

 また、「2人が一緒にいると泣き叫ぶ」ことが多いということですから、一緒にいる時間を少なくすることもひとつの方法です。お子さんの状態がわからないので適切かはわかりませんが、下のお子さんを保育園や預かり保育のある幼稚園に通園させたり、あるいは上のお子さんを放課後の学童に登録したり、好きな習い事をさせて帰宅時間を遅くしたり、どちらかが不在の時間をつくることで、子どもたちが一緒にいる時間を少なくすることもできます。

 お子さんに診断がついたり、「グレーゾーン」と言われたりすると、次のシステムとして必ず療育が推奨されます。もちろん、社会適応していくうえでは必要不可欠です。でも、その「療育」の内容については、きちんと把握していくことが必要です。お子さんの療育の目標は何なのか、そのための療育計画はどのようになっているのか、そして、3か月評価あるいは6か月評価、1年評価等はどのようになっているのか。あるいは、家庭の生活で困っていることなどを伝え、その問題が解決されていくような療育を実践してもらうことも可能です。

 これらを具体的に一つひとつ、ていねいに進めていくことでも、いまのお子さんの行動は変わっていく可能性があります。この点検作業も母子保健支援者は一緒に考えてくれます。

 「夫は協力的ですが、出張も多い」ということは、あなたの心の支えにはなっても、残念ながら現実的にあなたをサポートするのは難しいのではないでしょうか。その状況で、あなたはいままでよくがんばってこられました。ですから、これからは、積極的に第三者に助けてもらいましょう。