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産後のこころ(マタニティ・ブルー)

Q. 1歳になる子の母。自分にも育児にも自信がもてません。 (2016.2)

  • (妊娠週数・月齢)1歳0か月

もうすぐ1歳になる赤ちゃんがいます。私はとにかく自分に自信がなく、もちろん育児も自信がありません。赤ちゃんは夜泣きもなく、離乳食もたくさん食べてくれ、とてもいい子で、こんな私が母親で申し訳ないなと毎日思います。産後は頻繁に体調が悪くなり、実家に世話になりっぱなしです。自分なりに家事も育児もがんばっているつもりですが、まわりからは「実家に住んでいて甘えている弱い母親」だと思われているのではないか、こんな母親ならいないほうがいいのかなと思います。何もかもに自信がなくなったとき、どうしたらいいのでしょうか?

回答者: 市川香織先生

 育児にも自分自身にも自信がなく、どうしたらいいかわからなくなってしまったのですね。育児ははじめてのことだらけですね。昨日うまくいったことも、今日は違ってうまくいかない……こんなことの繰り返しですよね。子どもは日々成長していて、毎日違うわが子に振り回されるのが育児です。だから、育児に自信のある親なんていないのですよ。うまくいかないことが続くと、ほかの親子はうまくいっているように見えてしまうものですが、ほんとうはみんな悩んでいるのです。

 1歳になるお子さんはとてもいい子に育っているのですね。それはあなた自身ががんばってきたからです。自分を低く評価する必要はありませんよ。赤ちゃんはやさしいお母さんのそばですくすくと、安心して育ってきたのですね。赤ちゃんにとってあなたはかけがえのない母親です。あなたに代われる人はいないのですから、もっと自信をもっていいのですよ。

 また、産後の体調不良で実家にお世話になっていることを、「甘えている弱い母親」と書いておられますが、そんなことはありません。「お産は病気ではない」といわれますが、大きくなった子宮や広がった骨盤が元に戻るのは時間もかかりますし、正常な状態とはいえません。ましてや胎盤のはがれた子宮の壁は大けがを負っている状態です。ホルモンも激減する産後は心も不安定になり、いらいらしたり涙もろくなったり、産後うつの状態になる人も少なくないのです。産後は多かれ少なかれ誰もが心身ともに弱った状態なのであって、あなた自身が弱いから起きている問題ではないのですよ。

 逆に、そんな産後の状態のなかで、あなたはきちんと助けを求めることができています。自分なりに家事・育児をして、必要なときに実家に支援を要請できる。人に頼ることができるのは人を信じる力をもっている証拠です。信頼できる人を見つけて、その人に頼ることができるというのは素晴らしい力です。人に頼ることができた人は、次は人に頼ってもらうことができるでしょう。そして、「お互いさま」の交流ができてくるのですから、「甘え・甘えられ」という関係性は人と人とが交流していく原点だと思いませんか。

 あなたが実家に頼ることができたからこそ、お子さんはあなたに頼って、甘えが許されて、心穏やかに育ってきたのでしょう。実家のご家族も、あなたに頼られることで、育児に参加できること、あなたを支えてあげられたことをうれしく思っていると思いますよ。「申し訳ない」という気持ちをもつよりも、「いつもありがとう」という思いをもち、その気持ちを伝えていけばいいのではないでしょうか。そんなあなたのことを、「実家に住んでいて甘えている弱い母親」なんて誰も思っていません。どうぞ安心してくださいね。

 子どもは大人を映す鏡なのです。大丈夫、あなたは世界にひとりしかいない素敵な母親です。いまは一時的に自分自身に自信がもてなくなって、いないほうがましだと思ってしまうほど追い詰められているのかもしれませんね。母親である時間や妻である時間も大事ですが、自分自身である時間をもつことも大事です。赤ちゃんを家族に預けて、少し自分を取り戻す時間をつくってみるとよいでしょう。パートナーとこれからの生活を話し合ってみるのもよいでしょう。どうぞ笑顔と自信が戻りますように!