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性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳6か月の息子が父親になつかず、父子でうまくかかわることができません。 (2016.2)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳6か月の男の子の母です。息子が夫になつかず困っています。私は時短勤務をしており、息子は保育園に通っています。夫は、平日は息子や私が寝てから帰宅し、休日出勤も多いため、息子と過ごす時間は限られています。夫としては息子をかわいがっているつもりなのですが、強烈な夜泣きが1年以上続いているうえ、息子の私への執着が強く、夫が世話をしようとすると泣いて嫌がります。夫もがんばってはいたのですが、最近では自分が拒否されることに苛立つようになりました。息子は、発語は少ないもののこちらの言うことはほぼ理解しているのですが、夫は喃語で話しかけたり赤ちゃん抱っこをしてみたりと息子の成長に追いつけていません。どうすれば夫に息子の成長を理解してもらい、息子とうまく過ごしてもらうことができるでしょうか。このままだと夫が息子と接することを諦めてしまうのではないかと心配です。

回答者: 汐見稔幸先生

 ご相談の文面に見る限り、少し癖が強いというか、疳の虫の強いタイプの男の子という印象ですね。英語で「difficult child」というタイプです。夜泣きが激しかったり、こだわりがあったりする子で、少し育てに苦労する子です。わが家では3番目の息子がそうでした。お母さんがこのお子さんと接するときの態度とお父さんがこの子と接するときの態度はたぶんかなり違っていて、お子さんはそのうちのお母さんの態度が好きだし慣れていて、それに適応しているのだと思います。

 こういう場合は、お父さんがこの子の機嫌を取ろうとするようなことをあれこれ試みても、あまり効果はないと思います。そういう態度がお子さんに気に入られていないからです。こうしたときは、たとえば子どもが遊んでいるときに一緒に遊ぼうとしてお父さんが手を出したり言葉を添えたりせず、子どもの様子を温かいまなざしで見ていることが大事です。共感者として傍にいてあげるだけでいいのです。そういう姿勢を続けていれば、お父さんはあれこれ介入してこないで僕が遊んでいることをそれでいいと見守ってくれている、とお子さんが感じるようになっていきます。それが、傍で温かいまなざしで見守るということです。お子さんがいたずら活動をしているときも、「いい」とか「悪い」とかをすぐ口にしないで、そのいたずら活動自体を興味深く見守ってやるのです。面白いことが好きなんだね、という感じです。そうしてやがて、「傍にお父さんがいてくれると安心して遊ぶことができる」と感じるようになるのを待つわけです。

 もうひとつは、そのようにして関係が少しよくなれば、子どものやっていることと同じようなことをお父さんがお父さんのスタイルでやることです。子どもにかかわってやろうとするのではありません。お子さんはかかわってほしいと願っているとは限らないからです。そうではなく、子どものやっているのと同じようなことを、お父さんが自分のためにしているという関係です。同じ遊びをしている人間がいることに安心できれば、お子さんは徐々にお父さんと一緒にやることを願うようになります。

 いずれにしても、少し時間が必要です。がまん強く共感的なかかわりを続けてほしいですね。お父さんにそう伝えていただければと思います。