赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー性格・親のかかわり・育て方

性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳半。夫に対する子どもの態度が悪く、心配です。 (2016.6)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳半の男の子です。最近、夫に対して暴力的な行動を取るようになりました。1歳頃までは仲よくしていたのですが、夫の仕事が忙しくなり、帰りが遅く休みもほとんどないために、子どもと接する時間が急激に減ってから、息子の夫に対する態度が変わってきました。笑わない、物を投げつける、噛み付く、叩くなどで困っています。こんな時、母親の私はどうやって接して、どういう対応をすればよいのでしょうか?また、夫の方は、どういう態度をとるべきでしょうか?夫自身は、帰宅後の短い時間でも息子と触れ合おうとしていますが、息子が夫を無視するか暴力的になるかのどちらかで、だんだんと関係が悪化していっています。

回答者: 高橋惠子先生

 子どもが父親を嫌うばかりか攻撃までするとなると、どうしてだろうと心配になるのは当然です。しかし、これは珍しいことではありません。自分の心身の安全・安心を確保しようとする子どもからすれば、育児参加をしないお父さんは単なる「知らない男の大人」ですから、もっとも警戒するべき相手になります。乳幼児は、知らない人を避けますし、身体の大きな男性は危険だと察知するのです。「知らない人」を嫌い攻撃するのは、幼い子どもが自分の身を守るために、生まれながらに備えている重要な能力のせいです。

 でも、1歳頃までは父親とも仲良くやれたのに、子どもが変わったのではないかとお考えですね。そうなのです。子どもの人間関係が発達して「自分にとって重要な人」と「重要ではない人」との区別がしっかりできたのです。この人が「特別だ」と思う人(愛着の対象)が決まってきますと、その特別な人以外が親しく接してくると、子どもは危険だと感じて拒否するのです。父親がやっと見つけた時間だからと親しそうに子どもに接しようとすればするほど、子どもが嫌がるのはそのためです。

 ではどうすればよいのでしょう。第一の打開策は、日常的に父親が育児に参加することです。これまでのどの調査においても、父親が子どもと良い関係をつくるには父親の育児参加が不可欠だと報告しています。わが子と接する時間もなく働き続ける日本の労働状態は異常というしかありません。家族のためにと一所懸命働いているのに、父親が受け入れられていないのが日本の実態です。まず、少しでも育児参加ができないかを考えてみることが必要です。

 育児参加の時間はない、なくても仕方がないと思われるのでしたら、子どもが嫌がる今は子どもに無理に接するのは避けましょう。距離をおいて声をかけたり、子どもが機嫌の良い時に母親も交えて一緒に散歩をしたりドライブをしたりしてはどうでしょう。そして、大切なことは子どもが好きなお母さんとお父さんは「仲良しだ」ということを示すことです。子どもは「大好きなお母さんと仲良しな人」は「安心な人だ」と考えて警戒しなくなるという心理学の実験があります。あせらずに、夫婦仲をよくしてそれを子どもに見せることです。ゆっくりですが、お父さんはお母さんの仲良しだし、お父さんは危険な人ではないと納得すれば、子どもは父親を受け入れていきます。