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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠31週。就寝中に息が止まることが。胎児に影響はあるでしょうか? (2016.12)

妊娠31週の妊婦です。私は以前から寝ている間に息を止めてしまう癖があります。昨夜も苦しくなって目が覚めて、あわてて呼吸をしました。このように息を止めてしまっている間、胎児の酸素濃度は大丈夫な値なのでしょうか?影響はないのでしょうか?心配になってきましたが、対策法もわかりません。

回答者: 安達知子先生

 ご相談の方は、睡眠時無呼吸症候群と考えられます。これは睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気で、SAS(サス[Sleep Apnea Syndrome])とも言われます。

 医学的には、10秒以上の気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。おもな症状は、大きないびきと無呼吸発作です。

 最も多いのは閉塞型と呼ばれるもので、起きているときには気道周りの筋肉の緊張が保たれているため大丈夫ですが、眠ることによって緊張が解けて気道が閉塞し、無呼吸になってしまいます。この状態になりやすい方は、肥満体型、あごの小さい方、扁桃腺肥大などがある方で、気道狭窄になりやすい方です。

 SASの方は、「間欠的低酸素血症」と「睡眠の分断による交感神経の亢進」が起こりやすく、高血圧症、心臓病、高脂血症、糖尿病、動脈硬化などのさまざまな生活習慣病も起こりやすいと言われています。

 SASの方が妊娠されると、妊娠による体重増加により気道は狭くなり、症状は悪化します。母親の睡眠中の無呼吸が胎児・胎盤の酸素不足をもたらし、早産、妊娠高血圧症候群、胎盤機能不全、胎児発育不全や妊娠糖尿病のリスクも上昇する可能性が報告されています。

 ご相談の方は、妊娠前からSASであったと考えられますが、高血圧、糖尿病などの合併はないのでしょうか?また、妊娠中には前述のリスクがありますので、産婦人科医師にご自身のSASのことを話して、母体の状況、胎児発育、胎児胎盤機能のチェックをしてもらってください。妊娠経過を慎重に診てもらい、適切な時期に適切な方法で出産することが必要です。また、ご自身でできることとしては、妊娠中の過剰な体重増加をしないこと、食生活を減塩、低カロリーにして妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクを下げること、仰向けではなく、横向きで寝るようにして、気道の閉塞を少しでも軽くすることなどがあります。また、必要に応じてマウスピースの装着や、場合により、夜寝るときだけ鼻に呼吸器(CPAP(シーパップ)と呼ばれる、空気を送り込んで気道を確保する鼻マスク)をつけて、気道が閉塞しないようにする治療もあります。