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仕事と子育て

Q. 1歳3か月の息子を、保育園に入れるかどうかで悩んでいます。 (2017.12)

  • (妊娠週数・月齢)1歳3か月

1歳3か月の息子がいます。核家族で共働き、現在育休中です。来年度、保育園に入園させるか育休を延長するかで悩んでいます。普段、児童館や公園等へ連れて行っていますが、現在の時間や回数で十分だとは思えません。児童館からの帰宅中に子どもが寝てしまい、昼食の時間がずれる、睡眠時間も日によって異なる等、生活リズムも安定しません。家事や用事で子どもを待たせるし、テレビを見せてしまうし、外出できないことも多々あります。私は育休を延長したいのですが、さまざまな経験ができる、お友だちや先生と関われる、生活リズムが整うといった保育園のよさを考えると、子どもにとっては、保育園の方がよいのではないかと思います。育休を延長する場合、保育園のメリットを自宅育児で取り組むための工夫点や注意点があれば教えて下さい。

回答者: 高橋惠子先生

 次の二つの視点からを考えてみてはいかがでしょう。
 第一は、育児休暇をどのような時間だと考えるかです。子どもの誕生を契機に発生している休暇ですので、「子どもに多くの手をかける期間だ」と考え、よい母親になることだけを考えるとしたら、もったいないと私は思います。子どもに「しっかり手をかけて」「たっぷり抱っこして」などという甘い言葉に惑わされるのはよしましょう。これは、育児は「母の手で」という伝統的な誤ったワナです。子どもは母親の分身でも、所有物でもありません。父親が育児に参加するのは当然のことですが、子どもは社会の皆で育てるものです。

 育児休暇には、母親となった自分の人生をしっかり考えてみましょう。人生100年も夢ではない時代、これからの長い人生をどう過ごすかです。育児休暇を延長したいとお考えのようですが、あなたの人生に仕事をどう位置づけるのでしょうか。一生続けたいと願う仕事なのか、もっと自分をかけてみたい仕事や夢があるのでしょうか。子どもが母親の膝の上を喜んだり、後を追ったりするのはほんの数年のことです。子どもはすぐに成長し、あなたの生活上の仲間でしかなくなります。育児休暇は、子どもを持つことになった人生をリセットして、生涯の設計をしなおす時間だととらえることが大切です。 
 もしも育児休暇を延長するのであれば、子どものためにではなく自分のために必要な時間だととらえて、自分のために有効に使っていただきたいと思います。家族の一員として子どもを受け容れ、肩の力をぬいて、子育てだけに振り回されないようにしましょう。

 第二は、保育園に見合う取り組みが家庭でできるかという問題です。これは、無理です。保育園と家庭の違いは主に2つです。1つは、保育園は保育の専門家たちが乳幼児のための養育に専念している場所だということです。素人はこれに太刀打ちできません。そして、もう1つの重要な特徴は、保育園が子どもの集団生活の場所であることです。集団の中で子どもはたくさんのことを経験し、成長します。これも家庭では実現できません。このような保育園の特徴が子どもにとって大切だと考えるのであれば、保育園にお願いするとよいでしょう。そして、できるだけこの2つの特徴がうまく実現されている、質のよい保育園を選ぶのは親の責任だと思います。

 しかし、一刻も早く保育園や幼稚園に子どもを入れなくてはと焦る必要はありません。「保育園育児vs.家庭育児」として、どちらが子どもの発達にとって有利かを比較した発達心理学の多くの研究の結果は、それぞれに「一長一短あり」というものでした。家庭か保育園かというのではなく、子どもも母親も心からの笑顔でいられる育児環境の実現が大切だと思います。