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歯とお口のケア

Q. 3歳の娘、虫歯予防のためのシーラントってどんなものですか? (2018.1)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

娘は3歳になり、奥歯も生えて自分で歯磨きもするようになりました。今度、歯科医院に初めての定期健診に行く予定です。保育園のお友だちのママに「奥歯が生えたんだったら、シーラントをしてもらうといいよ」と言われました。むし歯を予防できるそうですが、それはどんなものなのでしょう?フッ素を塗るのとは違うのでしょうか?初めての歯科医院で怖い思いをさせると、今後行きたがらなくなるような気がするのですが、すぐに終わるものなのですか?

回答者: 井上美津子先生

 奥歯のかむ面の溝や歯のくぼんだ部分は、歯ブラシの毛先が入りにくく十分な清掃が難しいところで、むし歯になりやすい部分です。そこでこのような溝やくぼみをシールして保護する方法を「シーラント(予防填塞)」といいます。溝やくぼみを塞いでむし歯の発生を防ぐとともに、汚れ(歯垢)が溜まりやすい部分をなくして、清掃しやすくしようというものです。永久歯ばかりでなく、最近では乳歯にも積極的に応用されるようになってきています。

 シーラントに用いる材料としてはレジン系(合成樹脂のようなもの)とセメント系がありますが、どちらも歯を削って詰めるわけではなく、歯に接着させて保持するものです。シーラント材で埋めることにより、むし歯菌の侵入を防ぐことができるので、むし歯予防には効果的です。

 歯を削るわけではないので痛みを伴う処置ではありませんが、事前に溝の部分を十分に清掃すること(このためにはブラシコーンという器具をエンジンに付けて歯面を清掃することが多いです)や、詰める時に唾液が入らないようにすること(ラバーダム法やロール綿で唾液をよけます)が必要です。シーラントには、やわらかで流動性のよい材料が用いられるため、溝やくぼみの部分だけに流し込むように詰めます。詰めた材料は、光を当てて固めたり(数十秒で硬化します)、あるいはそのまま硬化するのを待ちます。後は、咬合紙(赤やブルーの色のついた紙)をかんで、かみ合わせのチェックをすればお終いです。

 上述のように、痛みを伴うわけではありませんが、ブラシコーンによる歯の清掃やロール綿で頬や舌をよけられるだけでも、嫌がるお子さんがいます。とくにレジン系シーラントのときには、接着力を高めるためにラバーダム法というゴムマスクのようなものをつけることが望ましいのですが、怖がりのお子さんにはすぐには受け入れてもらえないことがあります。

 一方、フッ素を塗るときには、ロール綿で唾液をよけることくらいはあっても、ジェル状のフッ素を綿球で塗るだけ、また低年齢児では歯ブラシで塗ることもあるので、あまり刺激的なことはないでしょう。
 初めての歯科医院での子どもの反応はさまざまです。とくに低年齢児では、未経験なことが多いため、新しい場面では恐怖心を抱きやすいものです。

 まずは、お口の診査や歯みがき指導などを受けて、そのときの様子をみてから判断してもいいと思います。3歳を過ぎると、徐々に言葉による説明なども理解できるようになるので、歯科医院や歯科医師に少し慣れてからシーラント処置を受けても遅くないでしょう。むし歯なら早めに処置をした方がいいのですが、予防処置ですので、歯みがきや間食などに気をつけて、お子さんの状況をみながら歯科医師と相談して処置することをお勧めします。